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福島県只見町は梁取地区にある町重要文化財の虚空蔵菩薩像2体の保存活動を進めている。400年近く山上の岩窟にあり損傷が著しいため、地域の信仰を集めていた貴重な木像を運び出し、修復作業に当たる。
菩薩像は地区の北西約220メートルの虚空蔵堂に安置されていた。座像は室町時代後期の作で高さ約66センチ。一つの木材から彫り出された一木造りだ。立像は江戸時代初期の作で高さは約74センチの寄せ木造り。透かし彫りの宝冠があしらわれている。
虚空蔵堂に至る山道は険しく、高齢化などで住民がお参りする機会が減った。コウモリのふんが付着し、手などが外れている。
町は14日、2体をただみ・モノとくらしのミュージアムに運び入れた。現在、ビニールで囲い特殊な薬剤で滅菌している。6月11日に修復の専門家が訪れて応急処置する。修復作業を進め、安置する場所を検討する。
地域では高齢化などで貴重な文化財を守る力が失われつつある。久野俊彦館長は「文化財の保存は博物館の役割の一つ。破損を食い止め、後世に伝えたい」と語った。(会津版)