ハナガメ化石、塙で発見 福島県立博物館の研究グループ、1050万年前の地層から 記録の空白期間埋める資料か

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ハナガメ化石、塙で発見 福島県立博物館の研究グループ、1050万年前の地層から 記録の空白期間埋める資料か

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福島県立博物館(会津若松市)の猪瀬弘瑛主任学芸員らの研究グループは、塙町の新生代新第三紀中新世(約1050万年前)の地層からハナガメ属の一種の化石を発見した。国内では約2000万年~約1600万年前の地層と約350万年~約35万年前の地層から見つかっており、今回の発見は化石記録の空白を埋める貴重な資料になるとみられる。
博物館が29日、発表した。猪瀬主任学芸員が2024(令和6)年7月、塙町の藤田砿業の採掘場からカメの腹部の甲羅の化石を発掘した。早稲田大の平山廉教授の研究グループと協力し発掘を進めたところ、背中の甲羅や足など複数の化石が同じ採掘場から見つかった。
研究の結果、化石はハナガメ属の一種と判明した。現代では中国の上海周辺やベトナム北部、台湾に分布している。県内ではいわき市の地層から化石が発見されている。今回見つかった化石の個体は雌で、甲羅の全長は25センチほど。猪瀬主任学芸員によると通常のハナガメは35センチほどの大きさであることから、新種の可能性も考えられるという。現生のハナガメは甲羅に凹凸があるが、今回の化石は表面が滑らかという特徴もあった。
ハナガメは河川や池沼、湿地などに生息する。このため、当時の日本付近にはハナガメが生息可能な大きさの陸地が存在していたとみられる。
猪瀬主任学芸員は「塙町から今後も新たな化石が見つかる可能性が高まった。雄の化石も見つけ、さらに研究を加速させたい」と話した。化石は31日から、博物館で実物を展示する。