福島のニュース
2015(平成27)年に英国のウィリアム王子(現皇太子)が訪れた福島県本宮市のスマイルキッズパークは、愛称が「プリンス・ウィリアムズ・パーク」となって今年で10年の節目を迎える。31日、同パークで記念フラワーフェスティバルが開かれる。パーク内にある英国庭園の花と緑を育ててきた〝守り人〟たちは、同市と英国の絆の象徴でもある拠点を未来に残そうと心を新たにしている。
「きれいな庭園になった」。英国庭園開園当初の2017(平成29)年から整備に携わっている英国庭園サポーター国分洋子さん(70)=本宮市在住=は枝切りばさみを手に満足げな表情を浮かべる。
バラの剪定を学びたいと、同サポーター事業に参加しようと決めた。初めは庭園の地質とバラの相性が合わず、根付かせるまで苦労したという。「粘り強く作業を続け、バラが花開いた時のうれしい気持ちは忘れられない」と懐かしむ。
月に2、3回程度、花柄摘みなどを通して園内の環境美化に携わる。サポーター仲間とおしゃべりをしながら作業するのも楽しみになっている。
サポーター事業に長年携わることで、庭園を訪れる市民らと接する機会も増えた。「きれいな庭園ですね」と声をかけられる瞬間は充実感を感じるひとときだ。
フラワーフェスティバル当日は会場を訪れる予定だ。手塩にかけて美しく整備した花園でも行われる式典に際し「安達太良山とバラの共演を楽しめるのが魅力の一つ。次世代に残していけるよう、整備に努めたい」と額に光る汗を拭った。■満山さんの遺志つなぐ
庭園アドバイザー浜野さん
「満山さんの遺志を受け継ぎ、庭園を造っていきます。天国で見ていて」。在日英国大使館元専属庭師で英国庭園アドバイザーの浜野義弘さん(65)=千葉県在住=は、在英県人会ロンドンしゃくなげ会長やワールド県人会長を務めた満山喜郎さん=白河市大信出身、享年(77)=への思いを口にする。
満山さんとは在日英国大使館職員の紹介で出会った。満山さんからの声かけで英国庭園造園の監修に当たった。「お会いする度に応援の言葉をかけてくれた。亡くなられた実感が湧かない」と生前の姿を回顧する。
フラワーフェスティバル内で行われる満山さんの顕彰碑除幕式では、顕彰碑近くにバラを植樹する予定だ。「満山さんの功績に花を添えたい」。これからもサポーターとともに、英国庭園を成長させていく。