福島のニュース
■第三者委が調査報告
使途不明金8~10億円
いわき信用組合(本部・福島県いわき市)が預金者名義の口座を無断で開設するなどした架空融資問題で、第三者委員会は30日、調査報告書を公表した。不正融資は遅くとも2004(平成16)年3月から昨年10月まで約20年にわたり江尻次郎元会長ら幹部主導で続けられ、少なくとも1293件、総額247億7178万円分が実行された。昨秋公表時点では「10億円超」だったが、桁違いの規模に膨らんだ。8億~10億円の使途不明金も判明し、全容解明は程遠い。背任罪や文書偽造罪などの成立可能性を指摘した。
不正融資の内訳は口座の無断開設による架空融資が約229億円、営業実態のない企業(ペーパーカンパニー)を利用した迂回[うかい]融資が約18億円。返済期限が迫ると新たな不正融資を実行し、それまでの借り入れを返済するという手法を繰り返していた。
不正融資は2004年3月、大口融資先の企業グループを支援するため、ペーパーカンパニーを介する方法で始まった。融資先の経営状態が悪化し多額の貸倒引当金を計上すれば信組の存亡に関わるとの危機感が背景にあった。2007年3月には無断借名融資を開始した。不正融資による資金は組織内で「B資金」との隠語で呼ばれ、多数の役職員が関与したか、その存在を認識していた。
不正融資の多くは返済金や利息として信組側に還流し、約21億5149万円から約22億9849万円が何らかの形で信組外部に流出したと推計されるとした。使途不明金は8億5千万円から10億円に上る。他の大口融資先に対する迂回融資の返済原資などに充てた可能性や、「B資金」以外の不正資金が存在する可能性にも言及した。
2012年に東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の復興対応で約200億円の公的資金の注入を受け、経営状況が改善したのをきっかけに、無断借名融資を損失として償却し、事実上帳消しにする作業が始まった。償却処理額は判明した限りで約10億円に上るとした。
不祥事の背景に、法令順守意識の根本的な欠如、常軌を逸した上意下達の組織風土、内部チェック態勢の機能不全などがあると指摘した。第三者委の聞き取りに対して信組は不正融資の件数や金額を過少に報告し、不祥事発覚後に関係資料を破棄する隠蔽[いんぺい]工作を重ねたとし、信組側が重要な事実関係を明らかにすることに「極めて消極的だ」と言及、不祥事の全容解明に至らなかった一因に挙げた。「わが国の金融機関の歴史を見ても類例を見ないほどに悪質」と断じた。
元職員2人の横領についても認定した。1人は横領額が約1億9582万円で、信組側は事実を把握しても隠蔽に動き、複数回の横領を招いたとした。もう1人は100万円の帯封現金から20枚を抜き取っており、横領か窃盗の罪に当たるとした。
第三者委は新妻弘道弁護士を委員長に、退職者を含む信組役職員への聞き取り、アンケートなどで事実を認定した。新妻弁護士は記者会見で、関係者からの聴取が十分でなく「全容解明には程遠い」と述べた。
財務省東北財務局は29日、無断開設口座による不正融資を長期間隠蔽したなどとして銀行法に基づく業務改善命令を出した。※いわき信用組合
いわき市に本店を置き、同市を中心に計15店舗で営業する信用組合。1948年に江名町信用組合として設立し、66年に現在の名称に変更した。東日本大震災後の2012年、金融機能強化法に基づき公的資金200億円の注入を受けた。ホームページの公開資料によると、昨年9月末時点で預金残高約2110億円、貸出金残高約1239億円、組合員数は約4万2千人。
動画のURLはこちら
https://www.youtube.com/watch?v=w7rtiwBqDdI
使途不明金8~10億円
いわき信用組合(本部・福島県いわき市)が預金者名義の口座を無断で開設するなどした架空融資問題で、第三者委員会は30日、調査報告書を公表した。不正融資は遅くとも2004(平成16)年3月から昨年10月まで約20年にわたり江尻次郎元会長ら幹部主導で続けられ、少なくとも1293件、総額247億7178万円分が実行された。昨秋公表時点では「10億円超」だったが、桁違いの規模に膨らんだ。8億~10億円の使途不明金も判明し、全容解明は程遠い。背任罪や文書偽造罪などの成立可能性を指摘した。
不正融資の内訳は口座の無断開設による架空融資が約229億円、営業実態のない企業(ペーパーカンパニー)を利用した迂回[うかい]融資が約18億円。返済期限が迫ると新たな不正融資を実行し、それまでの借り入れを返済するという手法を繰り返していた。
不正融資は2004年3月、大口融資先の企業グループを支援するため、ペーパーカンパニーを介する方法で始まった。融資先の経営状態が悪化し多額の貸倒引当金を計上すれば信組の存亡に関わるとの危機感が背景にあった。2007年3月には無断借名融資を開始した。不正融資による資金は組織内で「B資金」との隠語で呼ばれ、多数の役職員が関与したか、その存在を認識していた。
不正融資の多くは返済金や利息として信組側に還流し、約21億5149万円から約22億9849万円が何らかの形で信組外部に流出したと推計されるとした。使途不明金は8億5千万円から10億円に上る。他の大口融資先に対する迂回融資の返済原資などに充てた可能性や、「B資金」以外の不正資金が存在する可能性にも言及した。
2012年に東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の復興対応で約200億円の公的資金の注入を受け、経営状況が改善したのをきっかけに、無断借名融資を損失として償却し、事実上帳消しにする作業が始まった。償却処理額は判明した限りで約10億円に上るとした。
不祥事の背景に、法令順守意識の根本的な欠如、常軌を逸した上意下達の組織風土、内部チェック態勢の機能不全などがあると指摘した。第三者委の聞き取りに対して信組は不正融資の件数や金額を過少に報告し、不祥事発覚後に関係資料を破棄する隠蔽[いんぺい]工作を重ねたとし、信組側が重要な事実関係を明らかにすることに「極めて消極的だ」と言及、不祥事の全容解明に至らなかった一因に挙げた。「わが国の金融機関の歴史を見ても類例を見ないほどに悪質」と断じた。
元職員2人の横領についても認定した。1人は横領額が約1億9582万円で、信組側は事実を把握しても隠蔽に動き、複数回の横領を招いたとした。もう1人は100万円の帯封現金から20枚を抜き取っており、横領か窃盗の罪に当たるとした。
第三者委は新妻弘道弁護士を委員長に、退職者を含む信組役職員への聞き取り、アンケートなどで事実を認定した。新妻弁護士は記者会見で、関係者からの聴取が十分でなく「全容解明には程遠い」と述べた。
財務省東北財務局は29日、無断開設口座による不正融資を長期間隠蔽したなどとして銀行法に基づく業務改善命令を出した。※いわき信用組合
いわき市に本店を置き、同市を中心に計15店舗で営業する信用組合。1948年に江名町信用組合として設立し、66年に現在の名称に変更した。東日本大震災後の2012年、金融機能強化法に基づき公的資金200億円の注入を受けた。ホームページの公開資料によると、昨年9月末時点で預金残高約2110億円、貸出金残高約1239億円、組合員数は約4万2千人。
動画のURLはこちら
https://www.youtube.com/watch?v=w7rtiwBqDdI