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トランプ米政権の高関税政策を受け福島県は、売り上げが前年比で5%以上の減収か減収見込みの県内中小企業を対象に、資金繰りを支援する。新制度の融資枠は総額100億円で「関税対策特別資金」として1社当たり8千万円を上限に融資する。7月以降に取り扱いを始める予定。内堀雅雄知事が3日、米国関税対策緊急支援事業費を含む70億5100万円の2025(令和7)年度一般会計補正予算案を発表した。
県によると、県内の中小企業約5万社のうち、支援対象数は現時点で未定だが、米国向けの自動車部品製造関連企業などを想定している。利率は変動が年1・3%以内、固定が年1・5%以内。既存の制度資金よりも低く設定した。資金を借り受けた事業者が県信用保証協会に支払う保証料についても県が一部を補助する。県は融資枠のうち50億円を県内の金融機関に預託し、残りの50億円を各金融機関が用意する。預託のため、今年度末には金融機関から返還される。
県は高関税発動を受け、4月に県経営金融課と県産業振興センターに中小企業向けの相談窓口を設置。これまでに直接的な影響を受けた企業からの相談などはないが、先行きへの不透明感を踏まえ中小企業支援体制を事前に強化した。
資金繰り支援制度の創設に合わせ、7月上旬に県内7地方振興局の地域づくり・商工労政課に特別相談窓口を設置する。各振興局管内の事業所訪問を増やし、影響を受ける可能性が高い企業に融資制度を紹介するなど先手を打つ。
内堀知事は定例記者会見で「企業・団体の皆さんが持っている不安に先んじて予算を措置し対応する」と述べた。補正予算案は17日開会予定の6月定例県議会に提出する。