福島のニュース
児童が地域の中で成長していく「子ども会」が、福島県内で減少の一途をたどっている。県子ども会育成会連合会(県子連)に加入する子ども会と会員は2024(令和6)年度で745団体、3万1332人。団体、会員とも5年前に比べて約3割減った。減少の要因には、少子化や共働き世帯の増加、習い事の多様化などが指摘されている。
県子連によると、県内では東日本大震災と東京電力福島第1原発事故、コロナ禍が打撃となった。避難指示の影響により、相双地方で休止する会が続出。コロナ禍では地域を問わず動きが数年間、制限された。大内康司会長(85)=須賀川市=は「窮状に歯止めをかけたいが、対策は進んでいない」と悩みを口にする。
郡山市愛宕町のマンション「バルミー郡山」の入居世帯でつくるバルミー郡山町内会は、町内会育成部(愛宕バルミー子ども会)を今年3月に解散した。「子どもが減り、役員を引き受けてくれる親御さんがいなくなってしまった」。町内会長の添田祐司さん(50)は判断の経緯を振り返る。
会には20年ほど前まで20~30人の児童が所属していた。登校時の見守りやボウリング大会、クリスマス会などを続けてきた。添田さんの長男と長女、次男も「卒業生」だ。近年は児童数が5人ほどに減り、運営を支える保護者一人一人の負担感が増していた。
添田さんは「協調性を培い、学年を超えて交流できる場なので残したかった」と惜しむ。今後は夏休みのラジオ体操や地元の祭りへの参加など一部の活動を町内会で引き継ぐつもりだ。
子ども会は戦後の混乱期に青少年の健全育成を目的として各地に広まったとされる。保護者ら地域の大人が運営し、ラジオ体操や清掃活動、野外体験、祭りへの参加などを通して児童に交流の場を提供してきた。ただ、県子連によると、活発さには地域によりばらつきがあり、加入率が3割程度にとどまる会もある。
「会員拡大をどう進めるのか」。須賀川市で5月下旬に開かれた県子連の総会では、出席者から会員増加策への質問が出た。中山雄一事務局長(60)=須賀川市=は「予算や人手の問題から、できることには限りがある」と実情を明かす。
子ども会は比較的少ない費用負担で幅広い活動ができ、世帯収入の違いによる「体験格差」を緩和する効果を評価する声もある。大内会長は加入促進には自治体のサポートも重要とした上で、「組織の存続や会員増には子ども会の役割や意義を理解してもらう必要がある。活性化に向けた応援をお願いしたい」と行政の後押しを訴える。