備蓄米6日、福島県内発売 マルト君ケ塚店(いわき市)から 消費者歓迎、専門家は効果に懐疑的

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備蓄米6日、福島県内発売 マルト君ケ塚店(いわき市)から 消費者歓迎、専門家は効果に懐疑的

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随意契約による政府備蓄米が5日、福島県いわき市のスーパーに到着した。契約申請から10日余りで、他の県内小売店でも徐々に取り扱いのめどが付いてきた。政府は安価な備蓄米の放出をてこに、銘柄米を含めた米価全体の値下がりを促す狙いだ。消費者からは流通の広がりを歓迎する一方、備蓄米の取り扱い量は限定的で、専門家は政策効果を懐疑的にみる。
マルト(いわき市)は5日、市内のマルトSC君ケ塚店に1袋5キロの2022(令和4)年産米600袋を搬入した。県内のスーパーで最も早いといい、6日午前9時から販売する。営業開始の1時間前に整理券を配布する予定。1家族につき1袋限定で、税込み2139円。同社の担当者は「混乱が起きないよう販売したい」としている。
リオン・ドールコーポレーション(会津若松市)は7日、会津若松市の滝沢店と会津アピオ店で約300袋ずつを売り出す。5キロ当たり税込み2178円。数量の確保や包装などの準備が整い次第、県内外の各店に順次拡大する方針だ。ヨークベニマル(郡山市)とダイユーエイト(福島市)は6月中旬ごろの販売開始を目指す。ブイチェーンなどを運営するブイシージー(郡山市)は加盟するシジシージャパン(CGC)グループからの仕入れを見込んでいる。
購入の選択肢は増える。会津美里町の自営業新田俊さん(39)は、妻(39)と子ども3人の5人家族で、子どもの成長に伴い食費がかさんでおり「少しでも安く購入できるようになれば助かる」と喜ぶ。いわき市の70代女性は「(備蓄米が)広く行き渡って、銘柄米を含む米価が全体的に下がってほしい」と話した。
農産物流通に詳しい弘前大農学生命科学部の石塚哉史教授は、全国のJAでコメ農家に前払いする「概算金」を引き上げる動きが相次いでいるのを受け「米価格の低下は短期的で、中長期的にみれば効果は不透明だ」と指摘する。■備蓄米、吸水と米油でふっくら
「五つ星お米マイスター」が炊き方伝授
日本米穀商連合会が認定する資格「五つ星お米マイスター」を持つ井塚雄三さん(41)=いわき市・相馬屋営業部長=は、備蓄米の保管状況や品質によっては「(新米と比べて)ぬかが酸化して発する独特の臭いがあり、水分量や粘り気も少ない傾向がある」と指摘する。40分程度の吸水時間を置き、米3合に対して小さじ一杯分の米油を足すことで、ふっくらと炊き上がり、臭いを軽減できる。新米とブレンドしたり、味付け調理に活用したりするのも効果的という。