少子化を生きる ふくしまの未来 第7部「縮む地域」(6) 弔いの形 整備進む合葬墓 背景に継承者の不在

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少子化を生きる ふくしまの未来 第7部「縮む地域」(6) 弔いの形 整備進む合葬墓 背景に継承者の不在

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福島県内の自治体が運営する公営墓地で、複数の遺骨を合同で納める合葬施設(合葬墓)の整備が進んでいる。墓地を整理する「墓じまい」後の受け皿を望む声に応えるためだ。少子化の進行・生涯未婚率の上昇に伴う継承者の不在や減少、子孫に管理を任せることへの懸念が背景にある。
合葬墓は家族単位の一般的な墓と異なり、遺骨を合同で埋蔵し、共用の参拝所などを備える。費用が比較的安く管理が簡単なことから、都市部から全国の公営墓地に広がった。郡山市は2015(平成27)年4月に東山霊園に開設した。
東山霊園の合葬墓には、骨つぼに入った遺骨を20年間埋蔵するロッカー式の「個別埋蔵室」(収容可能数2942体)と、遺骨ごとに納骨袋に移して他の遺骨と共に無期限で埋蔵する「合葬室」(同5千体)がある。申請者が市民か、故人が市民ならば利用できる。使用料は埋蔵室が1体用9万5千円、2体用19万円など。管理料はなく、65歳以上の市民であれば生前予約も受け付けている。
想定を超える申請があったため、埋蔵室は過去2年間で2度増設し、収容力を開設時の約1・5倍に増やした。4月1日時点の使用許可件数(収容率)は全体の49%に上る。
市環境政策課によると、年間使用許可件数は4年連続で増え、2024(令和6)年度は610件と1年目に次ぐ数だった。市民ネットモニターを対象とした調査では墓に関して「子どもに管理してもらうのは申し訳ない」「継承、管理する人がいなくなりそうなので墓じまいを検討中」などの声が寄せられている。担当者は「合葬墓をはじめ霊園に関する相談は増えている」と関心の高まりを語る。
いわき市は2018、2019年度に南白土墓園と東田墓園に、計1万体を埋蔵可能な合葬墓地を整備した。市生活安全課によると、納骨堂型と樹木葬型をそろえ、これまでに3145体の許可を出している。喜多方市は2022年度に上ノ山墓地公園に合葬式施設(納骨壇252体、納骨室2千体)を新設し、278体を許可している。