再エネ発電参入へ福島県支援 地元供給促進のため設備導入費補助 売電収入の一部を地域に

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再エネ発電参入へ福島県支援 地元供給促進のため設備導入費補助 売電収入の一部を地域に

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福島県は今夏にも、地元に再生可能エネルギーを供給する発電事業者の設立を促進するため、新たな支援制度を設ける。再エネ設備や蓄電施設などの導入費を補助し、県内の工場や店舗に供給する体制を整える。事業者は自治体と協力して売電収入の一部を地域活性化に役立てる。導入が進む一方で課題となっていた地元利用を新たに後押しすることで、エネルギーの地産地消につなげる考えだ。温室効果ガス削減など環境分野での貢献を目指す地元企業にも利点がある。
11日の県議会地球温暖化・災害に強い県づくり対策特別委員会で県が示した。県によると、地産地消のイメージは【図】の通り。県は、新たに福島県で太陽光や風力、水力、バイオマスなどの再エネ発電に取り組み、地元に供給する事業者を募る。
新たな企業の進出に当たっては(1)8年以上にわたり、発電量の7割以上を県内で活用(2)売電収入の3%以上を立地する市町村と協議した上で地域の課題解決など活性化事業に充当―の二つの要件を設ける。県は条件を満たす事業者に発電設備の導入費用などを補助する。国の財源を活用する考えだが、補助率や財源規模は資源エネルギー庁と調整している。夏ごろの募集開始を目指している。電気利用者は発電事業者と利用契約を結び、電力小売り事業者を通じて給電を受ける。温暖化対策への関心の高まりを背景に、温室効果ガスの排出量削減は事業者への義務付けだけでなく、取引や融資などにも関わる動きが出ている。使用する電力の再エネへの切り替えは企業活動にも大きなメリットがある。
県内の再エネ発電量は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が発生した2011(平成23)年以降右肩上がりとなっている。2023(令和5)年度の再エネの導入実績は3961メガワットで過去最多を更新。再エネで発電できる電力量(導入量)が県内の電力消費量を初めて上回った。数字上は県内の電力全てを再エネで賄える計算だ。
ただ、多くは売電されるため、実際に県内で使われている量は限られる。温室効果ガス削減の恩恵が地元に広まるよう、消費拡大が大きな課題となっている。県は2050年までに二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指している。福島県の排出量は順調に減少しているものの、排出量全体の約3割を占める産業部門での取り組み強化が求められている。
今年度から3年間の再エネ推進の行動計画では、地産地消型の再エネ発電設備の導入推進などを柱に据えており、県は新たな取り組みで環境対策と地域振興の両立を目指す。県エネルギー課は「地域と共生した再エネの推進に取り組む」としている。