福島のニュース
17日午前11時25分ごろ、東北新幹線を回送列車として走行中の新型車両E8系(7両編成)が故障し、宇都宮―那須塩原間で停車した。この影響で、東京―仙台間の上下線が運転を見合わせ、約5時間半後の午後5時に再開。5万4700人に影響が出た。東北新幹線を巡っては連結外れなどのトラブルが続いており、仕事などに支障が出た県内利用者からは「またか」「何度も起こると困る」と憤りの声が相次いだ。JR東日本は「原因を調査中」としており、利用者からは社会活動を支える交通の大動脈の安定運行を求める厳しい声が上がっている。
JR東によると、回送列車は午前10時36分に上野駅を出発し、午後1時14分に盛岡駅到着の予定だった。停車後に車両点検し、当初は自力走行できなかったため、駅間で足止めされていた後続の「はやぶさ17号」と連結して撤去する準備をした。
はやぶさ17号には682人が乗っており、横付けした上り線の「なすの274号」に渡り板を使って乗り換えた。さらに後続で止まっていた「やまびこ57号」(乗客480人)は宇都宮駅へ引き返した。その後、回送列車は自力走行できる状態になり、連結せずに那須塩原駅方面へ移動した。
E8系は、山形新幹線「つばさ」として昨年春に営業運転を始めた。
トラブルの影響により、東北・山形・秋田の各新幹線で上下線計224本に運休や遅れが生じた。大幅にダイヤが乱れJR福島駅でも新幹線改札口に予定変更を余儀なくされた利用者があふれ、みどりの窓口にも行列ができていた。
商談で関東方面に行く計画だったが、想定外の足止めを食らった伊達市の会社員長谷川裕一さん(41)は「新幹線のトラブルが最近、多いように感じる」とため息交じりに語った。福島市の会社員小池寛さん(62)は「東京都の知人の通夜に参列予定だったのだが…」と残念そうに話した。
午後5時50分ごろ、運転再開した「やまびこ57号」が福島駅に着くと、疲労の表情を浮かべた乗客らが次々と降り立った。福島市の会社員小山光謙さん(33)は在来線と再開した新幹線を乗り継ぎ、ようやく東京出張から戻ることができた。「列車の不具合で仕事に影響が及ぶと思うと今後心配になる」と不満を口にし、点検や安全確認を徹底するようJRに注文した。
来県予定だった元サッカー日本代表の北沢豪[つよし]さんが午後に県庁で予定していたデフリンピックサッカー競技スペシャルサポーターの任命式に出席できなくなるなど、さまざまな分野に影響が及んだ。