福島のニュース
度重なる災害を乗り越え、福島県相馬市尾浜の旅館斎春商店が21日、再オープンする。3代目で専務の斎藤智英さん(42)は「相馬の魅力が詰まった施設にし、地域を盛り上げたい」と決意している。
「斎春」は約60年の老舗で、魚の仲卸や食堂、旅館として親しまれてきた。2011(平成23)年の東日本大震災で津波の被害を受け、2階部分まで浸水した。2021(令和3)年2月と翌年3月の福島県沖地震では、天井の落下や外壁のひび割れ、風呂場の破損など甚大な被害を受けた。その他、コロナ禍や2019年の台風19号と豪雨に伴う断水などにも見舞われた。
度重なる逆境に「心が折れかけた」と斎藤さんは振り返る。だが、常連の応援や老舗の重み、妻麻美さんからもらった「命さえあればやり直せる」という言葉が背中を押してくれた。
仮店舗での食堂の営業を経て、新たな建物を建設した。出来たての料理と十分なもてなしを提供しようと、12室あった部屋数を9室に減らした。斎藤さんが包丁を握り、新鮮な魚介類を中心に四季折々の食材を使った料理を並べる。近年相馬沖で水揚げが増え、人気が高まっている天然トラフグ「福とら」のコースも用意する。
昼は「食事処
斎春」、夜は「旬海の宿
斎春」として営業する。斎藤さんは「上質な料理とくつろげる部屋、風光明媚な松川浦の風景を満喫してもらいたい」と話している。
食堂の営業時間は午前11時から午後2時(ラストオーダーは午後1時30分)まで。問い合わせは斎春商店。