深夜、あいててよかった コンビニ24時間営業50年 第1号は福島県郡山市のセブン虎丸店 「なくてはならない店」

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深夜、あいててよかった コンビニ24時間営業50年 第1号は福島県郡山市のセブン虎丸店 「なくてはならない店」

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「あいててよかった」―。深夜にともる明かりに引かれ、一息つく。国内でコンビニの24時間営業が始まって、今月で50年。今では当たり前となった無休営業は業界トップのセブン―イレブン・ジャパンが1975(昭和50)年6月、全国で初めて福島県郡山市の虎丸店で開始した。
セブン&アイホールディングスによると、1974年に東京都江東区豊洲で国内初となるコンビニの営業を始めた当初、営業時間は午前7時から午後11時までの16時間だった。関東を中心に店舗を拡大する中、生活様式の多様化や早朝、深夜を含めて働く人の増加に対応するため、東北有数の人口規模を誇る郡山市の中心市街地の直営店で24時間営業を取り入れた。
5年後の1980年12月、市内を「クリスマス豪雪」が襲った。大雪のため送電線は各地で切れ、大規模な停電が数日間にわたって発生し、交通機関もまひした。
セブン―イレブン・ジャパン、セブン&アイホールディングスの社長を歴任した井阪隆一氏(67)は当時、新入社員として虎丸店に勤務していた。井阪氏は過去のインタビューで、電気やガスが止まり、付近の商店が休業する中、近県の工場から弁当やおにぎりを大量に運び入れ、ロウソクの明かりと電卓で営業を続けたと回顧している。食料を手にした買い物客から感謝の言葉を受けた井阪氏は「地域になくてはならない店でありたい」との思いを強くしたという。
24時間営業の便利さが浸透し、コンビニは暮らしに欠かせない社会インフラとして消費者を支えている。一方、人手不足や立地、時間帯による需要減を踏まえ、一部店舗は時短営業に切り替えるなど、社会変容への対応が課題となっている。セブンは省人化や地域需要に応じた生鮮品の充実に取り組む方針だ。