福島のニュース
参院選の前哨戦に与野党が位置付ける都議選で、自民党の獲得議席数は過去最低を下回り大敗した。「政治とカネ」問題に対する都民の目は厳しかった。「自公政権への不信感の表れだ。参院選で政治改革をしっかり訴えたい」。立憲民主党の石原洋三郎は都議選から一夜明けた23日、福島県須賀川市などで街頭演説に立ち、政権交代こそが最大の政治改革だと声を張り上げた。
昨秋の衆院選で立民は、自民党派閥裏金問題への批判の高まりなどを追い風に、公示前の98議席から148議席に大きく躍進した。国民民主党は4倍の28議席に伸ばし、衆院で与党を過半数割れに追い込んだ。県内4小選挙区では3勝を挙げ、比例東北を含めると県内から5人が当選。区割り変更で小選挙区が1減となったが、解散前の4議席から一つ積み増した。
今夏の決戦で与党を参院でも過半数割れに追い込めば、政権交代が見えてくる。福島県選挙区(改選1議席)で4選を目指す森雅子は政治資金収支報告書への不記載で、自民党の処分対象にはならなかったものの釈明に追われた経緯がある。立民県連代表で衆院議員の小熊慎司は都議選の結果を受け「野党に対する国民の期待を感じた。参院選は県民の良識と誇りに懸けて戦う」と言葉に力を込める。
◇
◇
石原は立民、国民民主、社民の各党県連と連合福島、県議会会派「県民連合」による5者協議会の支援を受け、政権批判の受け皿となるのを狙っている。22日に須賀川市で開かれた立民の党2区総支部決起大会には、国民民主や社民の県連関係者も出席し、立民との協調姿勢を示してみせた。
ただ、同じ旧民主党の流れをくむ立民と国民民主だが政策やスタンスは異なる。先月、福島市で開かれた国民民主の県連定期大会で党幹事長の榛葉賀津也は、参院選の後に行われる国政選挙には国民民主の独自候補を擁立すると明言。石原陣営関係者は「目の前の参院選を一緒に戦おうとしているのに。石原では戦えないと言われているようにも感じた」といぶかしがる。国民民主系の地方議員は「石原さんの顔と活動が見えない。まだまだ有権者に浸透していない」と陣営の出遅れを当てこする。
衆院議員や福島市議を務めた実績がある石原だが、全県的な知名度不足を自認している。こうした現状を受け立民県連は党所属の国会議員や県議、市町村議らでキャラバン隊を結成し、会津や浜通りを含めた県内全域で街宣活動を展開するなど躍起だ。立民県議の一部は、国民民主の公認取り消し騒動などが、5者協の結束に水を差さないかと気をもむ。立民県連幹事長の宮下雅志は「前回衆院選での県内得票数を超える50万票が目標だ。5者協が一枚岩になって(石原を)県内全域に広めていく」と足並みの乱れを否定する。
5者協の枠組みで接着剤、潤滑油の役割を果たしてきた連合福島。会長の沢田精一は「5者協の一員として必ず当選させる。連合傘下の組合に結束を促していく」とした。
◇
◇
これまでの参院選と大きく異なるのが、野党候補者の一本化に至っていない点だ。共産党は2013(平成25)年以来、12年ぶりに福島県選挙区で公認候補となる小山田友子を擁立した。党県委員会は18日、他党に先駆けて県版政策を発表し、野党共闘に距離を置いた。
福島県選挙区の定数が2から1に減った2013年の参院選以降、野党候補が勝ったのは2016年のみ。この勝利の再現を目指し野党は2019年、2022年と野党統一候補を立てて挑んだが、いずれも約10万票差で自民候補に敗れた。
立民県連の幹部は「都議選の結果を見れば『政治とカネ』で自民への逆風が続いているのは明らかだ」とみる。一方で、共産とは政策面での溝が深く、歩み寄る動きは表立ってはない。
共産党県委員長の町田和史は「中央の協議を注視する必要がある。(候補者一本化に向けた)門戸は閉じていない」と話す。ただ、22日に選対本部事務所開きを行い、小山田陣営は既に臨戦態勢に入っている。組織内には、統一候補の勝利につながってこなかった野党共闘に否定的な意見もある。党幹部は「(小山田を降ろすのは)支持者の理解を得られない」と明かす。
◇
◇
大山里[り]幸[さ]子[こ]を擁立した参政党は、有権者の既存政党離れを突き、無党派層などの受け皿になるのを狙う。政治団体「NHK党」からは越智寛之が立候補を予定している。(敬称略)福島県選挙区(改選1)立候補予定者(23日現在、敬称略)森
雅子
60
自民現元法相石原洋三郎
52
立民新元衆院議員小山田友子
32
共産新党県常任委員大山里幸子
51
参政新会社役員越智
寛之
51
諸派新会社役員