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福島県田村市に伝わる「鬼五郎・幡五郎」の鬼伝説が、8月2日から青森市で催される青森ねぶた祭に登場する。田村地方に残る兄弟愛の物語が東北を代表する夏祭りを盛り上げる。
青森ねぶた祭は毎年8月2日から7日までの6日間、青森市で催される。今年は23団体が大型ねぶたを出陣する予定で、このうち東北電力ねぶた愛好会が、田村市の「鬼五郎・幡五郎」伝説を題材に選んだ。
鬼伝説は、蝦夷討伐を進める坂上田村麻呂と戦った地元の豪族・大多鬼丸、その部下・鬼五郎と弟の幡五郎の物語。古里を守るため最後まで抵抗した鬼五郎は「わしは死んでも、鬼となってこの地を見守る」と弟に古里を託して亡くなり、遺志を継いだ幡五郎が豊かな古里を築いた―との内容だ。
同団体の大型ねぶた制作を担当する「ねぶた師」立田龍宝さんが以前に田村市を訪れた際、兄弟の絆と命を懸けた戦いを知り、感銘を受けた。さらに、伝説を守る地域住民の活動や兄弟をモチーフにした和太鼓保存会の存在にも心を揺さぶられた。いつかはねぶたにしたいと思い続けて今回、題材に選んだという。
ねぶたは、太鼓を持った大多鬼丸を囲み、鬼五郎と幡五郎が勇ましく戦う場面を表現した。立田さんは「田村市の伝説や太鼓の魅力を、ねぶたで多くの人に発信したい」と意気込む。東北電力ねぶた愛好会長の金沢秀樹さんは「東北の復興と発展に寄り添い続けるという思いを込めて出陣したい。多くの来場をお待ちしています」と話している。