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耳が聞こえない両親を持つ「コーダ」の男性を描いた映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」の上映会は25日、福島県郡山市中央公民館で開かれた。呉美保監督が「広い視野で見られる作品ができた」と紹介し、多様性が認められる社会など作品に込めた思いを語った。
2人の出産を経て9年ぶりに手がけた長編映画で、今年度の日本映画批評家大賞で作品賞など4冠を獲得した。キネマ旬報ベストテンでは主人公の母親役を演じた俳優忍足亜希子さんが、ろう者として初の助演女優賞に輝いた。呉監督は「作品の評価が、個性を持つ人たちが多様な活躍をする社会への道筋になると思った」と喜びを表した。
一部のシーンは伊達市の阿武隈急行梁川駅で撮影された。呉監督はホームを一つ一つ下見し、新緑が魅力で、周辺の沿線で大小のトンネルが続く梁川駅を選んだと回顧。「ホームや車両内はなかなか撮れない」と同社の協力に感謝した。
上映会は伊達市、県社会福祉協議会、県聴覚障害者協会、阿武隈急行、福島民報社などで4月に発足した「福島県上映をひろめる会」が企画し、市町村や関係団体から約200人が参加した。須田博行伊達市長、円谷真路福島民報社事業局長があいさつした。
映画は俳優吉沢亮さん演じる主人公が葛藤を経て家族を肯定する物語。昨年9月に公開された。ひろめる会は障害者への偏見や差別のない地域社会を目指し、市町村に上映を働き掛ける。
上映に関する問い合わせは福島民報社事業部へ。