街の本屋、生き残りへ 無人化し24時間営業 東北初、新たなモデル 福島県棚倉町のマスホン棚倉店

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街の本屋、生き残りへ 無人化し24時間営業 東北初、新たなモデル 福島県棚倉町のマスホン棚倉店

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福島県棚倉町の書店「マスホン棚倉店」は有人と無人を組み合わせた無休の24時間営業を開始した。無人営業は東北地方で初めて。出版文化産業振興財団によると、県内は29自治体で書店がなく、無書店率は全国で4番目に高い。各地で街の本屋が姿を消す中、本の拠点を守ろうと新たなビジネスモデルを打ち出した。■セルフレジで電子決済
人手不足解消
入店から購入までの流れは【図】の通り。これまで午前10時から午後8時まで従業員が接客と会計を担当してきた。システムを導入し平日は通常営業を午前9時から午後6時まで、午後6時以降を無人営業とし、土日祝日は7月から全時間帯を無人とする。
利用客から夜間の営業を望む声があったのに加え、人手不足解消のため、システムの導入を決めた。
5月15日から無人営業を実施してきた。同店によると、無人営業時間帯の利用は若年層が多く、多い日で20~30人が来店し、半数が本を購入していくという。若者向けコミックや一般書籍、参考書などを充実させた。
棚倉町の会社員関根雅仁さん(45)は既に4回ほど仕事終わりに無人店舗に立ち寄った。「閉店時間を気にせずゆっくり本を選べるのはうれしい。部活動終わりの子どもたちも利用できる」と話した。
経済産業省などによると、全国の書店数は最近10年間で3割減っている。特に小規模な書店や地方書店の減少が顕著だという。
マスホン棚倉店が投じたシステム費は100万円ほど。店長の谷田部美那子さん(41)は「無人営業のノウハウを広め、書店業を盛り上げていきたい」と話している。■魅力向上へ差別化
県内の書店
県内では近年、差別化を図る書店が目立っている。みどり書房(郡山市)はカフェを併設する店舗を有している。岩瀬書店(福島市)はおしゃれ雑貨、アート作品などを販売。福島市の西沢書店は「こども古本市」「わたしの推し本POP(ポップ)コンテスト」など若者向け企画を展開している。