福島のニュース
7月3日公示、20日投開票の参院選を前に主要政党の県版政策(公約)が27日、自民、立憲民主両党で出そろった。自民党県連は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の加速化や環境回復、防災力強化を挙げ、帰還促進や除染土壌の県外最終処分の実現などを訴える。立民党県連は復興の推進、地方創生を前面に出し、風評払拭と風化防止、若者・女性の視点に立った人口減少対策の強化などを掲げる。物価高対策など全国的な課題とともに重点を置く第2期復興・創生期間後の復興や加速する人口減などを巡り、論戦が展開されるとみられる。
自民県連は政権与党として課題解決に取り組んできた実績を強調しながら「福島を守る。」と銘打ち、10のテーマを設定。各8項目、計80の政策を並べた。復興・創生の実現を目指し、有権者が公約実現後の姿を想像できるよう、福島県の現状により目を向けた具体策を盛り込んだ。
商工業や農林水産業といったなりわい再建などを軸とした避難地域の復興の加速、除染土壌の県外最終処分に向けて国民の理解を深める取り組みの推進など環境回復に向けた施策、震災と原発事故の教訓を生かした防災力の強化などを県連独自の項目とした。
県連の鈴木智政調会長は「責任政党としての自覚を持ち、復興・創生に必要な具体的政策を打ち出した。参院選に向けて有権者に浸透させていく」と語った。
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立民県連は、震災・原発事故からの復興再生と、急激な人口減を踏まえた地方創生対策が喫緊の課題とみて県版政策の柱に据えた。復興の進捗[しんちょく]に伴い、地域の課題が個別・複雑化している現状に鑑み、住民の帰還や移住・定住を促進し、企業誘致や新産業を創出すると明記した。
2024(令和6)年の福島県の転出超過が全国ワースト5位で出生数が過去最低となった状況を踏まえ、若者や女性の視点に立った結婚、出産、子育ての切れ目のない支援の充実や若者の雇用先の確保など、自然減と社会減対策に取り組むとした。
県連の三村博隆政調会長は「復興への対応が一丁目一番地。現状を踏まえた政策を示し、責任を持って進めていく姿勢を主張していく」と言葉に力を込めた。
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共産党は18日に発表した県版政策で「県民が主役の復興」を掲げ、処理水の海洋放出、除染土壌の県外最終処分を国の責任で行うとした。県民の声をより反映する仕組みの構築、帰還困難区域などを事故前に戻す努力、原発ゼロ実現への尽力などを盛り込んでいる。
参政党と政治団体「NHK党」は県版の政策を発表していない。参院選福島県選挙区
(改選1)立候補予定者(27日現在、敬称略)森[もり]
雅子[まさこ]
60
自民
現
元法相石原洋三郎[いしはらようざぶろう]
52
立民
新
元衆院議員小山田友子[おやまだともこ]
32
共産
新
党県常任委員大山里幸子[おおやまりさこ]
51
参政
新
会社役員越智寛之[おちひろゆき]
51
諸派
新
会社役員自民党県連の主な県版政策❶ふくしまならではの地方創生・若者や女性の県内就職促進に向けた県内企業の魅力ある職場づくりの推進❷避難地域の復興加速化・避難地域12市町村の商工業、農林水産業の再建と営農再開への支援策の強化❸環境回復・除染土壌の県外最終処分に向けた国民の理解醸成のさらなる推進❹子育て・健康・医療・福祉の充実と人口減少対策・医師の養成から定着までの一環した対策の推進❺教育の充実・公立小中学校での理数教育の強化、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)との連携による先端研究の推進❻足腰の強い農林水産業・地域農業の担い手確保と定着、漁業の復興をけん引する新規就業者の確保❼中小企業等の振興・米政権の関税政策による影響を把握し、中小企業の資金繰りや雇用維持など経営安定に向けた支援強化❽新産業の出・集積・福島イノベーションコースト構想をけん引する人材の育成❾観光振興と風評払拭・風化対策の強化・国内外への正確な情報発信による農林水産物の価格差の回復や県産品の流通促進❿県土の強靱化(きょうじんか)・防災力の向上・河川改修や堤防補強による治水対策の強化など、自然災害に強い県土づくりの推進立憲民主党県連の主な県版政策❶福島の復興を力強く推進する・福島第1原発の汚染水処理水対策、農林水産業の再生、除染土の県外最終処分に向けた取り組みの加速化❷人口減少に歯止めをかけ、福島の活力向上を・女性が働きやすい職場づくり、若者の県内定着・還流に向けた対策強化❸物価高からあなたを守り抜く・食料品消費税ゼロ%、1人当たり2万円の「食卓おうえん給付金」の実施❹就職氷河期・現役世代、シングル世帯に安心を・現役世代の年金底上げ、家賃補助制度の創設❺農山漁村・生活インフラを守って、地方を豊かに・食料と農地を守る直接支払制度「食農支払い」の創設❻年金の底上げ、医療・介護体制を万全にする・訪問介護の基本報酬引き上げ❼チルドレン・ファースト、子育てしやすい環境をつくる・給食の無償化、教職員の働き方改革と処遇改善❽ジェンダー平等、人権擁護、犯罪被害者支援の推進を・誰もが個性と能力を発揮できるジェンダー平等の推進❾自由貿易をリードする、日本の平和を守る・自由貿易体制の維持強化、専守防衛に徹し日米同盟を深化❿政治の信頼を取り戻す、若者の政治参加を・企業団体献金の禁止、税金の使い道の透明化