福島のニュース
7月3日公示、20日投開票で行われる参院選で共産党県委員会は28日、福島県選挙区(改選1議席)で新人小山田友子氏(32)の擁立を取り下げ、比例代表に回すと発表した。県委員会は党員らに立憲民主党の新人石原洋三郎氏(52)への投票を呼びかける。全国に32ある改選1人区で立民と共産が候補者一本化に至ったのは初めて。主要野党の競合を回避し政権批判票を石原氏に集約することで、自民党現職の森雅子氏(60)に対抗する狙いがある。参院での与党過半数割れを目指すとしている。
共産党県委員会によると、立民県連の小熊慎司代表が27日午前に福島市で町田和史委員長と会い、候補者の一本化に向け協力を求めたという。同日午後に県委員会総会を開き、石原氏への選挙協力を決めた。石原氏は立民、国民民主、社民の各党県連と連合福島、県議会会派「県民連合」による5者協議会の支援を受けている。
共産の小山田氏は28日午後、福島市の党県委員会事務所で記者会見に臨み、「有権者に心苦しい気持ちがある」と悔しさをにじませながらも「参院でも自公を少数にし、政治を変える」と立候補取り下げの理由を述べた。町田氏は今回の選挙協力を「推薦、支持、支援とは異なる形」と説明。石原氏と政策協定は結ばず、党員らに石原氏への投票を呼びかけるとしている。一方、これまでの国政選挙での「野党共闘」とは異なり、応援演説などは行わない方向という。
立民の小熊県連代表は28日午後、福島市で開かれた石原氏の選挙対策本部会合の後、報道陣の取材に「自民の過半数割れを実現するために共産のほか維新、れいわの各野党に協力を投げかけた。(共産の)立候補の取り下げは英断だ」と語った。
立民の野田佳彦代表は19日、共産の田村智子委員長と会談し、1人区の候補者一本化を念頭に参院選での選挙協力で一致していた。共産は28日、福島県のほか、鹿児島でも新人の擁立を取り下げた。立民、共産両党の公認候補が競合する1人区は青森、栃木、群馬、福井、岐阜、奈良の6選挙区となった。3日の公示までに候補者調整がどこまで進むかが焦点となる。
参院選福島県選挙区では前回2022(令和4)年、前々回2019年ともに共産が独自候補の擁立を見送り、立民、国民民主、社民などと共に野党統一候補を支えたが、いずれも自民候補に約10万票差で敗れた経緯がある。■森陣営関係者「半分でも流れたら痛い」
3日の公示直前で選挙戦の構図が変わった。4選を目指す自民現職の森雅子氏(60)の陣営関係者は「県内の共産票は5~6万票とみている。その半分でも石原陣営に流れたら痛い」と本音を漏らす。
自民県連の矢吹貢一幹事長は「戦い方を大きく変えることはない」と強調。立民の新人石原洋三郎氏(52)が地盤とする県北地方で「いかに票を取られないかが重要だ」とみている。
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福島県選挙区には参政党の新人大山里幸子[りさこ]氏(51)、政治団体「NHK党」の新人越智寛之氏(51)も立候補を予定している。【参院選福島県選挙区の直近2回の結果】■2022年7月当
419,701
星
北斗
58
自民
新
320,151
小野寺彰子
43
無所属新
30,913
佐藤
早苗
62
無所属新
23,027
窪山紗和子
47
諸派
新
19,829
皆川真紀子
52
N党
新■2019年7月当
445,547
森
雅子
54
自民
現
345,001
水野さち子
57
無所属新
33,326
田山
雅仁
35
諸派
新※年齢、政党名は当時。敬称略※野党統一候補は小野寺彰子、水野さち子