不正融資全容解明へ いわき信組、特別調査委設置 財務省に業務改善計画提出 管理体制確立、審査厳格化

  • [エリア] いわき市

福島のニュース


巨額の不正融資が明らかになり財務省東北財務局から業務改善命令を受けた、いわき信用組合(本部・福島県いわき市)は30日、同局に業務改善計画を提出した。金成茂理事長が市内で記者会見して発表した。不祥事の全容解明に向け、同日付で弁護士ら外部有識者による特別調査委員会を設置したことを明らかにした。計画では、法令順守や企業風土改善を徹底するための経営管理体制の確立、融資審査の厳格化などを掲げた。
特別調査委員会は、検事を務めた経験があり、経済事件に詳しい弁護士2人と公認会計士1人で構成。第三者委員会の調査で明らかにならなかった使途不明金をはじめとした一連の問題に関する追加調査を行い、真相究明に当たる。
いわき信組が提出した業務改善計画書では、不祥事の発生理由について、「前会長の在任長期化で権限が集中し、ガバナンス機能の発揮を欠く状況にあった」と自戒。会長職を廃止した上で理事長の在任期間を6年に制限し、常勤役員の定年延長も廃止するとした。旧経営陣に対する民事・刑事両面での責任追及についても明記した。損害賠償請求訴訟と刑事告訴に向け、弁護士と協議を進めているという。
経営管理体制の健全化を目指し、有識者5人による経営監視委員会(仮称)を9月にも設置する。理事長と職員の意見交換会や無記名アンケートを実施する他、若手・中堅職員による再生・改革プロジェクトチームを創設する。
融資審査は1億円以上の大口融資についてはこれまで常務会だけで審議をしていたが、理事会でも追加の審議を行う。自己査定の対象金額も総与信額5千万円以上から、2500万円以上に引き下げた。
金成理事長は「業務改善命令を厳粛に受け止め、業務改善計画を役職員一丸となって着実に実行する。役員が率先して企業風土の抜本的な改革に取り組む」と述べた。■「厳しく検証」財務省東北財務局
財務省東北財務局は3カ月ごとに計画の実施状況の報告を求め、業務改善の状況を確認する。対応に不十分な点があれば追加の改善策を求めることもある。東北財務局福島財務事務所の蹄隆夫理財課長は「組合の各種態勢や組織風土の見直しが十分かつ適切なものかを確認するとともに、経営改善の進[しん]捗[ちょく]や実効性を厳しく検証したい」とした。
全国信用協同組合連合会(全信組連)は「取り組むべきことを明確にした計画であり、抜本的な改善とお客さまの信頼を回復するための出発点として適正な内容と評価している。計画の実行やさらなる改善に向けた取り組みをしっかりサポートしていく」とコメントした。【いわき信用組合の業務改善計画のポイント】・不祥事の全容解明に向け外部有識者による特別調査委員会を設置・第三者による経営監視委員会(仮称)を設置・権力集中を防ぐため役員の在任期間を制限・旧経営陣に対する民事・刑事両面での責任追及・法令順守に向けた経営管理体制の確立・大口融資案件などの審査の厳格化