いわしん再生なるか 業務改善計画 総代、実効性問う声 理事長「組織全体に浸透」

  • [エリア] いわき市
いわしん再生なるか 業務改善計画 総代、実効性問う声 理事長「組織全体に浸透」

福島のニュース


巨額不正融資の発覚を受け、30日に財務省東北財務局に業務改善計画を提出したいわき信用組合(本部・福島県いわき市)の金成茂理事長は「これからも地域を支える金融機関として役割を果たす」と決意を示した。しかし8億~10億円の使途不明金など未解明な部分が多く残る中、総代からは「再生につながる抜本的な対策になるのか」と実効性を問う冷ややかな声が上がった。任意の調査には限界があるとして、早期の刑事告訴と強制捜査を望む意見も出た。
「多大なご迷惑、ご心配をおかけしていることを改めて深くおわび申し上げる」。市内で記者会見した金成理事長は森貞隆之、菅波茂の両常務と無数のフラッシュを浴び、硬い表情で頭を下げた。報道陣に計画概要を説明し、「組織全体に『新生いわしん』を浸透させる」と変革をアピールした。
使途不明金などの解明に当たる弁護士や公認会計士らでつくる特別調査委員会への質疑が相次いだ。これまでに調査を実施した第三者委員会の活動は終了したため、特別調査委員会が引き継いで30日から調査を始めた。
ただし、信組側に証拠隠滅や全容解明を妨害するような動きがあったことが第三者委員会の報告書で明らかになっている。総代の60代男性は「計画通りに本当にいくのだろうか。内部統制が発揮されるとは正直思えない」と不信感を口にした。
旧経営陣は長期にわたって問題を隠して、第三者委員会に加えて東北財務局にも事実と異なる説明をした経緯がある。別の総代は、捜査機関に委ねるべきだと訴える。「真相解明まで本当にたどり着くのか疑問だ。早い段階での捜査機関の介入が必要なのではないか」と厳しい口調で指摘した。■「抜本的改革取り組む」
金成理事長ら一問一答
いわき市で記者会見した金成理事長は組織再生に向け「役員が率先して企業風土の抜本的改革に取り組む」と語った。森貞、菅波の両常務も対応した。
―会長職を廃止し理事長在任を6年に制限する。
「長期政権が大問題につながった。今後はトップに就くのは6年、70歳を迎えたら退任するよう厳格化する」
―組織体制をどう変えたか。
「コンプライアンス統括部を新体制となった13日付で新設した。9月に設置予定の経営監視委員会の委員や内容は検討中だ」
―無断借名融資の被害者対応を教えてほしい。
「謝罪に着手し、把握している260人のうち3割強の顧客宅に伺った。8月末までの終了を目指す。再発防止のため各店舗で保管していた債権書類を本部での集中管理に切り替えた」
―旧経営陣の刑事、民事での責任追及は。
「顧問弁護士と詳細を整理して捜査当局に相談する。損害賠償請求の金額などについては調査結果などを踏まえる」