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東京電力福島第1原発事故の影響を受けた福島県浪江町の四つの事業所は「町地場産業共創組合」を立ち上げた。伝統工芸や日本酒、水産物など町が誇る伝統の地場産業を発信する活動に取り組み、風評払拭や復興加速化につなげる。初のイベントとして12、13の両日、大阪市で産品の販売会や料理の提供を繰り広げる。市内では大阪・関西万博が開催中。世界各国の外国人が多く訪れている地で浪江の魅力を広く伝える。
4事業所のうち大堀相馬焼「陶吉郎窯」、水産仲卸「柴栄水産」、酒蔵「鈴木酒造店」の3者は、原発事故に伴う避難を経て町に帰還した。陶吉郎窯は大堀相馬焼の作品制作を手がける。柴栄水産は請戸漁港で水揚げされた魚介類「請戸もの」を販売し、鈴木酒造店は日本酒「磐城寿」の醸造に取り組む。ただ、売り上げや販売数は原発事故発生前の水準に届いていないのが現状で、苦境を打破し地場産業発展につなげようと事業所間で手を組んだ。
さらに、原発事故発生前に町内でバーと理美容室を営んでいた「浪江軒」も加わり、4月に組合を設立。初のイベント開催場所を探る中、「世界中に浪江の産品を伝える絶好の機会」と万博が開かれている大阪を選んだ。
「浪江の粋」と題し、グランフロント大阪北館に販売コーナーを設ける。陶吉郎窯の器や請戸もの、磐城寿を並べる。日本酒の飲み比べ、試食コーナーも置く。時間は12日が午後2時から午後6時、13日が午前11時から午後4時まで。前売り制で浪江の食材を使ったコース料理も提供する。
4日、陶吉郎窯窯元の近藤学さん、柴栄水産社長の柴強さん、鈴木酒造店杜氏の鈴木大介さん、組合代表で浪江軒の佐藤一男さんが本番に向けて町内で会合を開いた。近藤さんは「浪江の豊かな未来を創造し、復興に貢献する。町とも連携し、PR事業に取り組んでいく」と決意を示した。
イベントの問い合わせは事務局へ。