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江戸時代末期に旧相馬中村藩で実践された報徳仕法の精神を現代のまちづくりに生かそうと、福島県南相馬市は「報徳精神がいきづくまちづくり推進委員会」を発足させた。3日、同市原町区のサンライフ南相馬で初会合を開いた。
報徳仕法は二宮尊徳が提唱し、弟子となった相馬中村藩士の富田高慶が、飢饉に苦しんだ同藩に導入し、立て直しに尽力した。報徳の精神は、まっすぐな思いやりの心「至誠」を根本に、勤労や分度(状況や立場をわきまえる)、推譲(将来に向けての蓄え)の実践を説いている。
推進委員会は「報徳精神」を生かし、心豊かなまちづくり・人づくりの施策を進める。ワーキンググループを設置し、具体的な活動内容を検討する。
富田高慶が晩年過ごした原町区石神地区を中心とした、報徳精神を伝える拠点「報徳の里」の整備や、ソフト事業を目指していく。人工知能(AI)を活用した現代版の尊徳、高慶の開発も検討している。
文化団体、経済団体、生涯学習、学校などの関係者でつくる12人で構成し、市生涯学習課が事務局を務める。初会合では委員長に猪狩正志さん(市文化財保護審議会)、副委員長に渡部定幸さん(石神二小地域学校協働本部)を選任した。委員からは「学校教育の場でどう役立てているか、情報共有すべき」「市民にもっとPRが必要」などの意見が出された。(相双版)