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福島市の平野中は今年度、複数の教員が輪番で一定期間ずつ、学級担任を務める「チーム担任制」を導入している。時間的、精神的ゆとりを持って生徒と向き合うのが目的。複数の目で学級を見ることで、学級内の問題の芽を早期に見つける効果も期待している。教育の質を高めるとともに教員の負担を軽減する試みで、県教委によると、県内で導入する中学校は珍しいという。
9日、市総合教育会議で佐藤裕子校長が概要を報告した。チーム担任制の仕組みは【図】の通り。担任になった教員はホームルームや給食、道徳、総合学習などを指導する。担任が入れ替わる間隔は1週間ごとや1カ月ごとなど、学年の状況に応じて幅がある。例えば、7月上旬は前週に1年1組を担任した野口有美教諭が、翌週に1年2組の教壇に立った。各学級の事務や進路指導を担う「クラスアテンダント(CA)担任」は固定し、CA担任を中心に生徒の不安や疑問、進路の相談などに対応している。
教員はホームルームを持たない日が生まれ、時差出勤も可能になった。保育園に子どもを送ったり病院に通ったりと、私生活に沿った働き方をしている。朝の時間や給食を共に過ごすことで担当教科の授業中とは異なる生徒の姿に触れ、指導に生かせるのも利点だ。6月に行った校内アンケートでは教員の7割が「よい取り組み」と評価した。
生徒の側からも「いろいろな先生と関わりやすくなった」などと幅広い教員と接する機会が増えたことへの好意的な反応が多い。一方、保護者には「困った時に誰に相談すればいいのか」との戸惑いが生じている。特に進路指導への不安や一人一人に寄り添ってもらえるのかとの心配があるという。学校はCA担任を中心に、気軽に相談するよう勧めている。
学校はより良い制度に向け、改良を続ける方針。佐藤校長は「教員のチーム力が上がれば学校の教育力が上がる。今後も制度を磨き上げたい」と話している。
福島大人間発達文化学類付属学校臨床支援センターの高野孝男特任教授は平野中の取り組みを、生徒や保護者に納得してもらえる環境づくりの一環と評価した上で「アンケートなどで課題を洗い出し、生徒や保護者に向き合って改善を続ける姿勢が大切だ」と指摘している。