ふくしま2025参院選 10・20代100人アンケート(上) 情報源SNSなど主流 真偽「発信者を確認」

  • [エリア]
ふくしま2025参院選 10・20代100人アンケート(上) 情報源SNSなど主流 真偽「発信者を確認」

福島のニュース


福島民報社は20日投開票の参院選に合わせ、10~20代の福島県内有権者100人にアンケートを行った。選挙に関する情報を得るのにインターネットや交流サイト(SNS)を使うとしたのは86人と大多数を占めた。情報の真偽を判断する方法は「発信者の確認」が最多で、同じ事柄を扱う「別の投稿を見る」などと合わせ、真偽を見極める手だてもネットやSNSが主流という傾向が浮かんだ。専門家はSNSは政治参加の裾野を広げる一方、偏った主張や虚偽・誤った情報に触れやすいとし、多様な媒体に触れる意識が重要と指摘する。

86人が候補者や政党・政治団体、投票の仕組みなどの選挙情報を得る際にネットやSNSを使う理由は【グラフ(1)】の通り。「スマートフォンなどでいつでも調べられて便利」が54人で最も多く、6割を超えた。
使用する媒体(複数回答)は「グーグル」「ヤフー!」などの検索エンジンが64人で最多。次いで「X(旧ツイッター)」が46人で、「ニュースサイトやアプリ」40人、「ユーチューブ」25人、「インスタグラム」15人などだった。
ネットやSNSは選挙における情報発信・収集手段として年々、存在感を高めている。昨年の東京都知事選や兵庫県知事選ではSNSの情報が結果に影響したとの見方がある一方、情報の正確性や誹謗[ひぼう]中傷の拡散などが議論となっている。閲覧履歴から、視聴者の関心や行動に合う情報ばかり表示する「フィルターバブル」が思考を偏らせ、過剰な対立や社会の分断を生む恐れも指摘されている。
ネットやSNSの情報の信ぴょう性を判断する方法を複数回答で聞いた結果は【グラフ(2)】の通り。「情報の発信者を確認する」は58人で約6割に上り、「同じ事柄を発信している別の投稿を見る」が46人、「その情報に関するコメントを確認する」が36人。ネットやSNS上の情報から真偽を見極める人が「ネットやSNS以外(新聞、テレビ、ラジオなど)の情報を調べる」の35人を上回った。
一方、選挙情報を得る際にネットやSNSを使わないとしたのは14人。理由では「情報があふれ過ぎている」が6人で最も多く、「掲載されている情報が信用できない」が3人、「個人情報の流出が怖い」が1人などだった。
■識者
複数媒体で判断を
東北大大学院法学研究科の金子智樹准教授(33)=現代政治分析=はスマートフォンなどから気軽に利用できるネットやSNSは有権者が政治や選挙に関心を寄せる「入り口」としての効果を持つとした上で、偏った情報などにも触れやすいと指摘する。「テレビや新聞などを含め、複数の媒体の情報から真偽を判断する姿勢が大切」と訴える。
ネットやSNSで情報を得る際、金子氏が留意すべきと考える主なポイントは【下記】の通り。投稿の中には(1)誰かを攻撃したい(2)特定の人を有利にしたい(3)閲覧数を伸ばしてお金を稼ぎたい―といった「発信者の意図」が含まれている可能性があると説明する。一方、マスメディアの報道には一覧性や正確性があり「SNSより信頼度は高い」とし、違和感を持つような情報に触れた場合はテレビや新聞の情報も確認するように促している。
発信者の確認など複数の手法で情報の信ぴょう性を判断する若者の姿が浮かんだアンケート結果に「メディアリテラシー意識を持っている姿勢がある」と評価。ネット以外の情報にも触れる重要性を呼びかけた。
■SNS望む声
政治家の発信手法
調査では、政治家に求める情報発信の手法を複数回答で尋ねた。「X(旧ツイッター)」が50人で最も多く、「ユーチューブ」は40人、「インスタグラム」は33人と若年層に身近なSNSを挙げる声が目立った。
「テレビ」はXに次ぐ45人、「新聞」は29人が選択し、一定数が既存メディアでの発信も望んだ。旧来からの選挙活動の街頭演説は11人、チラシは6人。
最も知りたい情報は「政治家自身の公約、その背景や理由」が40人で最多。「公約の進捗[しんちょく]状況」の28人と合わせ、7割近くが公約関連の情報を求めた。
■ネットやSNSで選挙情報を得る際の主なポイント★投稿内容には「発信者の意図」がある可能性にアンテナを張る。★誰かを攻撃したり、直感で違和感を覚えたりする情報は発信元を確認する。マスメディアの情報にも触れる。★新聞やテレビから情報を得ている人との会話もマスメディアに触れる機会になる。
■調査方法
県内の高校、大学、専門学校などに通う生徒・学生、社会人ら選挙権を持つ18~29歳の100人に7月3日から11日にかけて実施した。内訳は10代(18、19歳)が20人、20代前半(20~24歳)と20代後半(25~29歳)が各40人。地域バランスや男女比を考慮して学校や企業、団体に回答者の選定を依頼するなどし、オンライン上の専用フォームから回答を得た。