南極観測の情熱、手記で感じて 隊員として調査に参加 故松本郁夫さんの功績伝える展示会 福島県楢葉町

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南極観測の情熱、手記で感じて 隊員として調査に参加 故松本郁夫さんの功績伝える展示会 福島県楢葉町

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福島県の楢葉町教委主催の第8回コミセンミニ展示「実録『南極物語』」は町コミュニティセンターで開かれている。9月28日まで。町出身で第2、3次南極観測隊員だった故松本郁夫さんが残した資料を展示し、観測の困難さや使命を全うしようと職務を果たした情熱を伝えている。
町によると、松本さんは1933(昭和8)年に町内前原に生まれ、当時の建設省地理調査所測地部計画課に勤務しながら1957年と1958年に南極観測隊員として調査に参加した。その後、町議会副議長などを務めて町議5期目の満了を目前に、2001(平成13)年に死去した。
松本さんが隊員として初めて参加した第2次観測は気象状況の悪化により南極調査船「宗谷」が氷海の中で身動きが取れなくなり漂流するなどし、懸命の努力を重ねながらも越冬計画を断念した。後に映画化されるタロとジロなど樺太犬15頭を昭和基地にやむなく置き去りにしたのもこの調査時だ。翌年の調査で改良を遂げた「宗谷」のもと、調査を果たすことになる。
展示には松本さんの手記や調査参加への推薦などを示す複数の資料が並ぶ。手記には計画の断念や観測を果たす際の記述が残る。
自宅で保存されていた資料の多くは東日本大震災の津波の被害を受けたといい、生前に町に寄贈された貴重な展示品が当時の無念さや歓喜をリアルに伝え残している。
町は9月20日午後1時30分から、町コミュニティセンターで松本さんの功績を紹介し、南極の観測について解説する講座を開く。落語なども実施して広い世代に楢葉の歴史を伝える。
町は「昭和100年にも併せて実施した。当時の熱意あふれる挑戦の中に楢葉の人がいたと知ると見え方も異なってくるのではないか。地域史を彩る多くの人物に関心を持つ機会になってほしい」と呼びかけている。
観覧無料。問い合わせは町生涯まなび課へ。(相双版)