福島のニュース
参院選は20日の投開票まで2日となった。改選1議席の福島県選挙区は自民党の現職森雅子候補(60)と立憲民主党の新人石原洋三郎候補(52)が大接戦のまま最終盤の舌戦を過熱させている。両候補とも地盤とする地域での支持固めが勝敗を左右するとみており、森候補はいわき市を中心とした浜通り、石原候補は福島市を核とした県北地方での集票に躍起だ。自民、立民の両党本部は福島県選挙区を「最重点」に位置付け、首相経験者ら「大物」を応援に投入するなど威信をかけた戦いとなっている。
森候補は17日、会津地方に選挙カーを走らせた。頭には「必勝」の鉢巻き。手を振る有権者がいると車を降りて走って近寄り、「助けてください」と深々と頭を下げた。会津若松市で行った演説では道路整備や人口減少対策などを訴え「古里のために必ず結果を出す」と声を張った。
報道各社の情勢調査でやや劣勢と報じられており、巻き返しに全力を挙げる。東北地方の自民各候補は苦戦しており、党本部は福島県選挙区を「最重点」として議席維持に必死だ。石破茂首相は17日、選対幹部に直接電話を入れ「福島の議席は絶対に守らなければならない」と檄[げき]を飛ばした。
組織力を生かし、党本部から応援弁士を続々と投入している。小泉進次郎農相は17日、2度目の福島県入りでマイクを握った。18日は岸田文雄元首相が来県する。陣営は森の出身地・いわき市で確実に支持を得ようとねじを巻く。最終日の遊説打ち上げはJRいわき駅前を会場に設定した。
矢吹貢一党県連幹事長は「心を一つにして、最後の最後まで戦い抜くことで勝利をつかめる」と言葉に力を込めた。
石原候補は17日、県内随一の大票田・郡山市を遊説した。沿道に集った支持者を見つけると選挙カーを降りて急きょ、予定外に演説をする場面も。「政治が国民に寄り添わなければいけない」と訴えた。すっかり日焼けした顔で聴衆一人一人と握手を交わし、支持を呼びかけた。
情勢調査で「やや先行」とされても相手は閣僚経験者のベテラン。陣営は「リードしている実感はない」と、組織を引き締める。党は福島県選挙区を最重点としており、公示後には重鎮の小沢一郎衆院議員が選挙事務所を訪ね「必死になってやらなくてはならない」と選対幹部を激励した。
18日は相手の地盤・浜通りを遊説し、自民票の切り崩しを狙う。笠浩史国対委員長が再度、応援に入る。19日には野田佳彦代表が12日以来2度目となる「異例中の異例」(選対関係者)の福島県入りを予定しており二本松、福島両市で街頭演説する。石原の地元・県北の支持を固める戦略だ。
宮下雅志党県連幹事長は「最後の直線で勝負できる所まで来た。運動量を緩めずに無党派層に働きかけていく」と決意する。
参政党の新人大山里幸子候補(51)は17日、元航空幕僚長の田母神俊雄氏を応援弁士に迎え、いわき市での個人演説会に臨んだ。減税して経済を回すことの重要性などを訴えた。会場には多くの支持者らが集まり、拍手や賛同の声が上がった。18日は天栄村や須賀川市などを回った後、地元の郡山市で個人演説会を開く。19日も郡山市内を回る。
政治団体「NHK党」の新人越智寛之候補(51)、無所属の新人遠藤雄大候補(40)は独自の戦いを進めている。