生徒とAI、新聞基に議論 福島県石川町の石川義塾中と学法石川高 論理的思考力育成へ

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生徒とAI、新聞基に議論 福島県石川町の石川義塾中と学法石川高 論理的思考力育成へ

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福島県石川町の石川義塾中と学法石川高で今月から、生成人工知能(AI)と新聞を組み合わせた新たな授業が始まった。教育現場で新聞を活用する「NIE(教育に新聞を)」の一環で、記事から選んだテーマを巡り、生徒が対話型生成AI「チャットGPT」とディベートする。信頼できる情報を基に意見を交わすことで生徒の論理的思考力などの育成を目指す。
18日に石川義塾中で行われた2年生の国語の授業。この日のディベートは「生成AIで声を無断利用される声優と声の権利」に関する新聞記事がテーマになった。生徒は法律で声の権利を「守れる」「守れない」それぞれの立場に分かれ、記事を読みながらタブレットでチャットGPTに意見を打ち込んだ。法的根拠や具体例を踏まえて反論するAIとのやり取りを経て、構成力や論理性など5項目を数値で評価された。
生成AIを使う狙いは入試や小論文で求められる論理的思考力を高めることだ。AIの改良などを担当した引野さぎり教諭によると、NIEでは新聞を使うディベートがよく行われるが、子ども同士で議論が進まない場合もある。1人での議論や数値による評価ができるようチャットGPTの設定を独自に改良する手法を考案。7月から試験的に導入している。
テーマ選びに際して地元や国内外の記事が複数のチェックを経て掲載されるなど新聞の信頼性の高さを評価する。「今の子どもはSNSが情報源で知識量が足りない。新聞を読んで議論の前提知識を得てもらいたい」と求める。授業に出た渡辺つばささん(13)も「ディベートするために新聞記事を読み込むことが増えた」と話す。
今後は大学教授を招いた研究授業などを予定しており、引野教諭は「AIと新聞を使った教育の可能性を広めたい」としている。