福島のニュース
20日に投開票された参院選福島県選挙区で、事実上の与野党対決を制し4選を果たした自民党の現職森雅子さん(60)。報道各社の情勢調査で全国的に自民苦戦と伝えられながらも懸命な訴えを選挙運動最終日まで続け、勝利を呼び込んだ。
福島県選挙区は報道各社の情勢調査などで「接戦」と報じられていた通り、開票結果の判明までに約3時間を要した。午後10時50分ごろ、待望の当選確実の連絡が入った。福島市鎌田のウィル福島アクティおろしまちに駆け付けた森さんは支援者と抱き合い、喜びを分かち合った。「政治家として初心に返って、福島の復興のために全身全霊を尽くす」。支持者らとがっちりと握手を交わした。割れんばかりの万歳三唱コールが何度もこだました。
2度の閣僚経験と3期18年の実績は自他ともに認めるところ。一方で、今回の選挙はかつてなく厳しかった。党派閥裏金問題では党の処分対象にはならなかったものの、政治資金収支報告書の不記載があったため逆風にさらされた。選挙期間中、有権者から厳しい声を浴びせられる場面もあった。その度に深々と頭を下げ、政治家として一から出直す覚悟を丁寧に説明してきた。当選確定後のあいさつでは「(不記載問題に関する)厳しいご指摘も真[しん]摯[し]に受け止め愚直に責任をしっかりと果たしていきたい」と述べた。
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生前から国会議員として活動を続ける唯一の自民党所属の本県選出国会議員だ。いわき市出身の議員として被災地の復興にかける思いは人一倍強い。「第3期復興・創生期間に被災地の復興が着実に進むよう引き続き国政の場で取り組む」と郷土再生への決意を示す。
原発事故に伴う除染で生じた土壌の県外最終処分や再生利用の道筋はついておらず、多くの課題が山積している。森さんは「復興は道半ば。復興を加速させ、日本を守る決意と覚悟を持って4期目も全力で働いていきたい」と目に涙を浮かべながら言葉に力を込めた。