自民 僅差で激戦制す 森氏 組織力で挽回 石原氏 批判票集約できず 参院選福島県選挙区戦いの跡

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自民 僅差で激戦制す 森氏 組織力で挽回 石原氏 批判票集約できず 参院選福島県選挙区戦いの跡

福島のニュース


改選1議席の参院選福島県選挙区は、自民党の現職森雅子氏(60)と立憲民主党の新人石原洋三郎氏(52)が序盤から激しく競り合い、自民、立民両党本部はともに福島県選挙区を「最重点」として総力戦を繰り広げた。強固な組織力を誇る閣僚経験者の森氏が初当選を目指した石原氏をかわし、4選を果たした。
森氏は3期18年の実績と2度の閣僚経験を前面に打ち出した。「ふくしまを守る」を合言葉に、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興推進には政権与党議員が必要だと訴えた。物価高対策や農林水産業・商工業の振興などを公約に掲げた。
党の支部組織や党所属国会議員、県議、市町村議らの後援組織、県内全域に及ぶ農業や商工業など支援・友好団体をフル回転させ、組織戦を展開した。報道各社の終盤情勢調査で全国的に自民が苦戦していると報じられ、組織が引き締まった。党幹部や閣僚らが応援で続々と本県入りして支持を広げた。地盤とする浜通りでの票固めが鍵とみれば県連幹部らが重点的にてこ入れし、最終盤で盛り返した。政治資金収支報告書の不記載問題を受け、中央で連立を組む公明党が推薦を見送り「強力なる心情的支援」にとどめた。さらに、岩盤保守層の一部が新興勢力の参政党候補へ流れたが、影響は最小限にとどまった。
石原氏は国民の政治不信が高まっているとして「政権交代こそ最大の政治改革」と主張した。食料品の消費税0%、安心できる社会保障制度の確立などを打ち出し、地方創生に向けては大都市一極集中の是正も唱えた。
選挙活動の主軸を立民と国民民主、社民の各党県連、連合福島、県議会会派「県民連合」による5者協議会が担った。昨秋の衆院選で立民は県内4小選挙区のうち三つで勝利。さらに復活も含め比例東北で2議席を得ており、勢いそのままに政党票や労組票などを固めるのに注力した。ただ、石原氏は県全域での選挙が初めてで、知名度不足の課題を十分に克服できなかった。共産党が公示直前に独自候補の擁立を取り下げ、石原氏への投票を党員らに呼びかけた。政権批判票を石原氏に集約できるとの見方が多かったが、十分な受け皿になれなかった。
参政党の新人大山里幸子氏(51)は党の政策「日本人ファースト」を軸に、減税の必要性などを主張した。強固な組織はないが、党の主張に賛同する市民らが選挙活動を支え、広がりを見せた。普段は自民や国民民主などを支持する層を切り崩し、18万余りの票を積み重ねた。
政治団体「NHK党」の新人越智寛之氏(51)と無所属の新人遠藤雄大氏(40)は支持が広がらなかった。(本社報道部県政キャップ・渡辺浩)