託した思いどうなる 参院選政権弱体化 与野党協議先見えず 物価高対策、農業、関税… 福島県

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託した思いどうなる 参院選政権弱体化 与野党協議先見えず 物価高対策、農業、関税… 福島県

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参院選の投開票結果が判明し、与党が過半数割れとなった21日、福島県民に「自分の一票がどのように政策に反映されるのか」と期待と懸念の思いが交錯した。衆参両院で少数与党となり、石破茂首相は野党との政策協議の方針を表明した。選挙戦で争点となった物価高対策は給付だけでなく減税を含めた議論が見込まれるが、与野党で一致点を見いだせるかは不透明だ。県民は農業や復興などの分野も含め、「政争に終始せず、国民目線の政治をスピード感を持って進めて」と求めた。
「与野党間で落としどころを見つけられるのだろうか」。3歳の長女と6月末に生まれたばかりの次女を育てる郡山市の主婦佐藤恵美さん(29)は首をかしげる。参院選で有権者の最大の関心事となった物価高対策では、主に与党が給付、野党が減税を訴えた。ただ、選挙戦で与党は社会保障の財源維持の必要性を強調し、野党も給付案の不十分さを指摘。選挙での議論は「平行線」となっており、佐藤さんは国政の行く末に不安を感じている。
ただ、多くの党に支持が分かれた今回の選挙の結果、どんな物価高対策が実現するのか、注目もしている。子どもの食材は「安全性を考えたい」と国産を選んでおり、食費の切り詰めに限界を感じてきた。少ない給付策は「その場しのぎ」に見えた一方、減税は将来的な国民負担が増える心配もあると考える。「さまざまな意見を取り入れた慎重な議論をしてほしい」と願う。
長引く米価問題も各党が連日、論戦を交わした。農業関連の予算拡充や農家支援の新制度の導入など、具体的な対応で差があり、合意に至るには難航が予想される。ただ、会津若松市の農業久田純一さん(41)は稲の育ち具合を見ながら、「農業に世間の注目が集まった」と論争を前向きに受け止める。与野党を超えて増産を公約に明記するなど共通の方向性も示されている中、「生産者を守る政策を進めてもらいたい」と話し、農家と消費者の双方が納得できる価格設定の実現などに期待した。
米国との関税交渉の期限が8月1日に迫るなど各党には火急の課題への対応も求められている。福島市の金属加工業シオヤユニテックは納入先に米国への輸出を手がける企業があり、社長の塩谷雅彦さん(53)は「交渉の結果次第では(受注が減り)生産量が減少するかもしれない」と懸念する。各党が公約実現を目指す中、「政治的な争いに終始しないで打開策を見いだしてほしい」と国会での議論の活性化を求めている。■政党超え復興議論を被災地から要望
少数与党となった昨秋の衆院選後には政党間の駆け引きにより、衆院の東日本大震災復興、災害対策の両特別委員会の統合などもあった。被災地からは国による復興の取り組みが停滞しないよう求める声が上がった。
議席を獲得した一方、復興を公約に記していなかった政党もある中、南相馬市の運動インストラクター山本啓史さん(37)は「政党に関係なく復興に向けた議論を深めるべきだ」と訴えた。双葉町浜野行政区長の高倉伊助さん(69)は衆参両院で与党少数となったことによる影響を不安視する。福島県選挙区で当選した議員に対し、「地元の意見を吸い上げ、生の声を国会に届けて」と強く要望した。