産品融通し合い道の駅に活気 地産地消拡大へ 8月第1弾、国見と大玉 ふくしま産直倶楽部

  • [エリア] 国見町 大玉村 湯川村 相馬市
産品融通し合い道の駅に活気 地産地消拡大へ 8月第1弾、国見と大玉 ふくしま産直倶楽部

福島のニュース


福島県内78の道の駅や農産物直売所が加盟する「ふくしま産直倶楽部」は、施設間で産品を融通し合う取り組みを8月に始める。産品の鮮度や作り手の「顔」が見える安心感といった、道の駅・直売所の魅力や強みを生かしつつ、生産者の減少や季節などによる出荷量、品ぞろえの変動に対応する試み。旬の異なる農林水産物や、土地土地の地域性豊かな加工食品を他地域に行き渡らせ、地産地消や消費拡大につなげる。







地域ごとの特産や、売り場で高い需要を見込める産品を施設間で提供し合う。他の施設から取り寄せた産品を「目玉商品」などとして売り込むことで集客力を高め、普段から店頭に並んでいる地場の産品への波及効果も見込む。事務局を担う県が直売所などの「ネットワーク強化事業」として、輸送費用の補助や施設間のニーズ調整などを後押しする。
8月に始める第1弾の仕組みは【図】の通り。実証と位置付け、道の駅国見あつかしの郷(国見町)内の直売所「くにみ市場」がお盆明けごろに、最盛期を迎える桃をあだたらの里直売所(大玉村)に提供する。大玉側からは新米の流通が本格化し始める前の9月をめどに、村内産の県オリジナル高級米「福、笑い」を受け入れる。融通のペースや売り上げの配分などは施設間で協議している。
22日は道の駅あいづ湯川・会津坂下(湯川村)に関係者が集まり、流通の在り方を話し合った。くにみ市場副店長の佐藤尭彦さん(39)は「桃やコメの生産者と提供する時期や量を調整して取り組みを進めたい」と話した。
県が施設間を仲介する背景には、直売施設が誇る高い集客力の一方、生産者の高齢化や異常気象などに伴う品薄への関係者の懸念がある。あだたらの里直売所に産品を出す会員は村民を中心に約280人。会員数は年々減っており、70代以上が8割弱に上る。来店者に人気の桃を安定的に出せる生産者は1軒のみだ。店長の矢吹吉信さん(51)は「桃を豊富に並べられれば売り場の活性化や売り上げ増、生産意欲の向上につながる」と前向きに受け止める。
22日の会議では、会津地方特産のアスパラガスやコシヒカリと、福島県沖で水揚げされる「常磐もの」なども話題に上った。道の駅あいづ湯川・会津坂下は常磐ものフェアを定期的に催しており、常連客から好評を得ている。駅長の土田昌孝さん(53)は「新鮮な海産物をより扱えれば、地元の方も喜ぶはず」とみる。
常磐ものを扱う道の駅そうま(相馬市)も会津ブランドの産品に興味を示す。運営会社でエリアマネジャーを務める星暁斗さん(43)は「遠方からの特色ある商品は住民や観光客の集客につながる」と期待する。
ふくしま産直倶楽部は2023(令和5)年度に設立。昨年度から活動を本格化させ、先進地視察や会員相互の交流活動を展開してきた。