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福島県会津若松市の漆芸家小林弘和さん(55)は日本漆工協会主催の「第32回日本文化を担い世界に広がる
漆の美展」で最高賞の農林水産大臣賞に輝いた。
受賞作は「天光」。縦67センチ、横68センチの大きさで、会津の風景から着想を得た。磐梯山と猪苗代湖、翁島を表現した。発泡スチロールで原形を作り、漆と布を重ねる「乾漆」と呼ばれる技法で制作した。金粉を用いて景色に差し込む日の光を表した。
複数のパーツを組み合わせることで、独自性のある作品に仕上げるのが小林さんの特徴だ。「限界にとらわれないことが大切。造形の幅を広げ、表現がより豊かになる」と狙いを語る。
会津大短期大学部を卒業後、会津漆器後継者養成所を経て父昇さんが営む小林蒔絵工房に入った。息子が野球を始めたことをきっかけに公募展などへの出品を控えていた。恩師の薦めなどもあり、今回13年ぶりに作品を出した。約300点の応募がある中、初出展で最高賞を射止めた。
これまで技術力を前面に押し出す作品作りを続けてきた。今後は技術だけでなく「味のある」芸術品を生み出したいと考えている。「これからも作品を作り続けたい」と意欲を見せる。