「和牛の香り」可視化 福島市の福島大食農学類研究員の鹿野さん 8月、国際会議で成果発表

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「和牛の香り」可視化 福島市の福島大食農学類研究員の鹿野さん 8月、国際会議で成果発表

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福島大食農学類の研究員・鹿野仁美さん(36)は和牛の香り成分が含まれる箇所を可視化した。研究成果をスペインで開かれる国際会議「EUROANALYSIS
2025」(8月31日~9月4日)で発表する。研究に福島県内で肥育・生産された黒毛和牛「福島牛」を活用しており、福島牛の魅力の発信につなげたいと意気込む。
和牛は海外産に比べ、特有の甘い香りがあるとされる。鹿野さんは成分の質量を可視化する「イメージング質量分析」を駆使し、香り成分「ラクトン」が赤身よりも脂肪に多く含まれていることを示した。香りが揮発してしまう課題があったが、試薬を使い、化学構造を変え、成分の分子量を増やすことに成功した。沸点を上げて揮発しにくくした。
鹿野さんはイメージング質量分析などに関する論文量や、研究が評価され、優秀な若手研究者に授与されるドイツの化学会の奨学金も得た。鹿野さんが所属する研究室の平修教授は「アイデアと、それを裏打ちする論文の説得力が、国際会議で口頭発表できるまでの評価につながった」と分析する。
会議では「フードケミストリー」の分野で発信する。「香り」を目に見える形にすることで、福島牛の品質の良さなどが伝わりやすくなるとみている。
鹿野さんは昨年誕生した福島牛ブランド「福粕花」の開発にも携わっており、福島牛に対する思いも人一倍だ。「福島牛をはじめとした和牛の甘い香りの良さを世界にアピールしたい」と語った。