手焼きの技を「見える化」 福島県喜多方市の山中煎餅本舗 数値データで工程継承 後継者育成に活用

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手焼きの技を「見える化」 福島県喜多方市の山中煎餅本舗 数値データで工程継承 後継者育成に活用

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福島県喜多方市の老舗煎餅店・山中煎餅本舗は、たまりせんべいを炭火で手焼きする伝統技術を数値データ化する取り組みに乗り出した。カルビーグループでスナック菓子の製造・販売を手がけるジャパンフリトレーが協力する。職人の技を「見える化」させることで、後継者を育成しやすい環境を整える。
同店は1900(明治33)年創業で、現在は2人の職人がせんべいを製造している。しかし、焼き加減や裏返しのタイミング、乾燥時間などは全て職人の経験に頼っており、せんべいをふっくらと焼き上げる技術の継承に課題を抱えているという。さまざまな工程を数値データで示すことで技術を分かりやすく伝え、担い手不足の解消を目指す。
25日、ジャパンフリトレーM&S本部開発部長の伊藤政喜さんらが同店を訪れた。職人がせんべいを焼く様子を動画で記録したり、実際にせんべいを炭火で焼いたりして工程を確認した。今後、約1年かけてデータを集め、分析を進める。
代表の渡部ひとみさんは「データを活用し後継者育成につなげたい」と展望を語る。伊藤さんは同店がせんべい生地を仕入れている山形県東根市の工場も回り「炭火で手焼きするせんべいは貴重。可能な限り協力していきたい」と述べた。
山中煎餅本舗は、ふくしま産業賞10回を記念して設けた夢スタートアップ賞を受けた。福島民報社、とうほう地域総合研究所(とうほう総研)、県信用保証協会が来年3月まで経営を後押しする。