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歌舞伎や浄瑠璃の演奏を務める義太夫節奏者室井一仁さん(37)=福島県南会津町=は長年勤めた南会津町役場を退職し、「古典芸能に親しみを感じてほしい」と地元を中心に、演奏活動に専念している。8月10日には町内の旧南会津郡役所で演奏会を開す。「二足のわらじ」を脱ぎ、表現に磨きをかけて魅力を伝え続ける。
義太夫は演目の状況を三味線の音色に合わせ、独特の節で説明する。室井さんは会津田島祇園祭子供歌舞伎の役者出身で、弾き語りで檜枝岐歌舞伎の義太夫を担ったり、昔話をアレンジした創作浄瑠璃を披露したりしてきた。13歳で語りを始め、芸歴25年目。三味線奏者として国立劇場への出演歴がある。
役場を退職したのは3月だ。迷いはあったが、義太夫を担える奏者は全国的に少ない。古里の伝統を残していく―。その思いが強くなり一念発起した。
郡役所での演奏会は2019年から続けている。秋のみの開催だったが、今年は郡役所の築140周年を盛り上げようと、春と夏も催す。江戸時代の農民一揆「南山御蔵入騒動」を題材にした「南山義民の碑(いしぶみ)
喜四郎内絶縁の場」と、「おむすびころりん」を原作に自ら創作した浄瑠璃「御結是程廃棄噸」を披露する。「ゲストによるサックス演奏もある。歴史ある場所の雰囲気も楽しんでほしい」と話した。■28日から予約開始
演奏会「邦楽の夏」は午後1時から。入場料は一般3千円、小中学生無料。先着70人で7月28日から電話予約を受け付ける。問い合わせは郡役所、心宙珈琲店へ。