福島のニュース
細胞核の限られた箇所への「CK2」と呼ばれる特定の酵素の集積が、がんの再発を予測する新たな指標(バイオマーカー)となることを星総合病院(福島県郡山市)と福島医大(福島市)の研究チームが確認した。研究成果は知財として国内特許を取得したと、星総合病院が28日、発表した。
同病院で15年ほど前から乳がん手術を行った約200例のがん組織から、細胞内の特定物質の量や分布を比較し、統計解析した。その結果、細胞内にある核小体へのCK2の集積が、がん再発のバイオマーカーになり得る可能性を示した。
比較的初期や薬物治療の効き目があるがんであっても、数年から十数年後に再発する場合があり、再発予測の精度やコストが課題となっている。研究チームは診断時の検体で早い段階から将来的な再発リスクを見つけ、患者にとって適切な治療の選択につながることが期待されるとしている。
研究には星総合病院の野水整総長院長、福島医大医学部生体物質研究部門の本間美和子特別研究員、本間好名誉教授、同学部病理病態診断学講座の橋本優子教授、喜古雄一郎博士研究員が関わった。研究論文は米国の科学誌「キャンサー・サイエンス」、分子生物学の成果は「ライフ・サイエンス・アライアンス」に掲載された。