歌手、作品制作 石井竜也さん × 東日本国際大総長 吉村作治さん 歌とアートで浜通りに活力 国道6号沿い巡回展

  • [エリア] 大熊町 いわき市
歌手、作品制作 石井竜也さん × 東日本国際大総長 吉村作治さん 歌とアートで浜通りに活力 国道6号沿い巡回展

福島のニュース


福島県内の国道6号沿いに芸術や音楽でにぎわいを生む取り組みが動き出す。アート作品も手がける歌手の石井竜也さん(65)がディレクターとなり、東日本国際大総長の吉村作治さん(82)=いわき市=らと「未来へ紡ぐ夢」をテーマに、羽を題材とした大型オブジェやモザイクアート、歌などの「素材」を10月から募る。石井さんが来年3月11日から制作に入る。作品は沿道の道の駅などで巡回展示する。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から15年の節目に合わせ、復興へ歩む地域を芸術で盛り上げる。■全国から作品素材公募
事業名は「Happy
Island
浜通りアーツ2026」。近く開設するホームページで写真や絵、言葉、詩を全国から募る。30秒~3分程度の短編動画も作る。各作品は石井さんが来年3月11日から5カ月ほどかけて制作、編集する。来年8月に浜通りで大規模な芸術文化イベントを催し、披露する。オブジェは当日に住民らと一緒に仕上げる。
お披露目以降は1年ほどかけ、道の駅など国道6号沿いの集客施設などに作品を分散展示する。来年はいわき、相馬、大熊の3市町に飾る予定。毎年違う市町村に配置し、作品を鑑賞する人に幅広いエリアを訪ねてもらう仕組みとする。鑑賞とともに、地域による復興の進捗[しんちょく]の違いや住民の姿に触れてもらい、福島の未来を考えてもらう機会をつくる。
①素材募集②作品制作③展示イベント―のサイクルを繰り返し、長期的、継続的な活動にする方針。将来的には東京都や大阪府など都市部でも作品を展示し、風化の防止や風評の払拭に貢献する計画だ。■震災15年に合わせ
石井さんは母親がいわき市出身で、吉村さんとは約30年前のラジオ番組での共演を機に親交を深めてきた。震災と原発事故から15年を前に「浜通りをさらに活性化させよう」という吉村さんの提案に石井さんが共鳴し、構想が膨らんだ。実行委員会には浜通りの経営者らでつくる「HAMADOORI13」や東京都の企業などが加わり、資金面や運営などをサポートする。
1日は大熊町の産業交流施設「CREVAおおくま」で吉村さんと石井さん、HAMADOORI13代表理事の吉田学さん(50)が記者会見し、事業概要を発表した。
実行委員長を務める吉村さんは「新しい文化を創造し、浜通りをより良くしていく」と決意を示した。石井さんは幼い頃に訪れていた浜通りを「のどかな自然が好きだった」と思い起こし、「『福島のために何かしたい』という思いだった。複合災害から立ち上がり、必死に頑張る姿を広く発信したい」と意気込んだ。