鉄錆塗に高校生の感性 若手職人グループ 会津漆器担い手減、活性化へ デザイン考案、商品開発

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鉄錆塗に高校生の感性 若手職人グループ 会津漆器担い手減、活性化へ デザイン考案、商品開発

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喜多方漆器青年部は葵高生とタッグを組み、会津塗の一つ「鉄[てつ]錆[さび]塗[ぬり]」を活用した商品開発に乗り出した。重厚で落ち着いた風合いを醸し出す技法で、明治・大正時代に栄えた半面、一度途絶えた歴史がある。最近は徐々に担い手が現れ、青年部の塗師岩橋美琴さん(29)=喜多方市=が若者ならではの感性で新風を吹き込み、さらなる浸透を図りたいと企画。生徒2人がデザインなどで協力し、会津若松市で展示販売する。若いアイデアを生かし、会津漆器に光を当てる。
会津地方では長年にわたって漆器づくりに携わる職人の減少と高齢化が課題となっており、会津独自の文化である鉄錆塗の継承も懸案だった。岩橋さんは、こうした現状を打破しようと、2022(令和4)年、仲間5人と青年部をつくり、企画展開催や若者向けワークショップなどを手がけてきた。
鉄錆塗は高度な技術のため、時の流れとともに携わる人が減っている。しかし、岩橋さんは独特な装飾美の魅力が多くの人に広まれば、業界全体が活性化すると期待する。さらに若い視点を取り入れた商品を打ち出すことで、新たなファンを獲得できると考えている。
昨年2月に葵高で開いた会津漆器の歴史を解説するワークショップで、高校生でもある程度、鉄錆塗を扱えることが分かった。「生徒のアイデアを融合しよう」。親交のある葵高の浦埜好美教諭に商品開発事業への協力を打診。岩橋さんの講座を受講したことがある一条春歌さん(17)=2年=と商品開発に関心のあった目黒はなさん(16)=1年=が手を挙げた。
この夏、2人は絞り出しなど鉄錆塗の技法を体験した。会津若松市七日町にある工房・塗師一冨では、さまざまな鉄錆塗の商品を見学し、商品イメージを膨らませた。
2人とも自宅に会津漆器はあるが、どこか遠い存在のイメージだったという。「祖父母の世代が使う品」「お正月など特別な日に使う食器」といった印象を抱いていたが、見学を通じて「同世代に地場産品の奥深さを届けたい」との思いが強まりつつある。
岩橋さんは「会津漆器は実用性を兼ね備えた生活工芸ではあるが、2人には固定観念にとらわれず、自由な発想で作ってほしい」と期待を寄せている。■10月若松で展示販売
10月25日から11月3日まで、会津若松市の福西本店で展示販売する。青年部主催で、このうち一角を一条さんと目黒さんに任せる。2人とも岩橋さんの助言を受けながら9月から製作に着手する。時間をかけて、こだわりの一品を作り上げるか、オブジェのような小物を数多く製作するか―思案を巡らす。
展示販売までに校内でPRするなどして来場者を募る。※鉄錆塗
会津塗の伝統的な技法の一つ。生漆に砥石[といし]の粉を混ぜ合わせた錆漆[さびうるし]を器などに何層にも施すことで鉄製品のように見せる装飾技法。筆を使ったり、水で柔らかくした錆漆を絞り出したりして描くと立体的な仕上がりになる。明治時代から大正時代にかけて盛んに用いられた。