福島県たなばた展 70年の歩み (上) 長年、伝統文化支える

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福島県たなばた展 70年の歩み (上) 長年、伝統文化支える

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書道展「福島県たなばた展(福島民報社主催、県教委、県書写書道教育研究会、県教育会館などの後援)」は今年、70回目の節目を迎えた。県内の伝統文化を長年支えてきた書道展のこれまでの歩みを振り返る。
パソコンなどの普及によって、筆を使って文字を書く機会は減少している。それでも、日本人の文字に対する美意識や感性は学校の授業や書の鑑賞などを通じて育まれている。県内では学校の教職員や関係者の情熱によって、子どもたちが書道に触れ合う場が提供されてきた。
書道は戦前、学校の正課だったが、太平洋戦争後、進駐軍の指示によって外されたとされる。しかし、県内関係者の「伝統を復活させたい」との思いから1949(昭和24)年には県書道教育研究会(県書研)が結成された。現在の県たなばた展にあたる「学生書道コンクール」は県書研、県教委、福島民報社の主催で1956年から始まった。
たなばた展は、小学生から高校生まで子どもたちの発達段階に応じて正しく文字を書くことに重点を置く。毎年のテーマは学習指導要領に準拠して決められる。小学校低学年の硬筆作品は「とめ」「はね」「はらい」などの基礎を重視。小学3年生以上の毛筆では、筆遣いや文字のバランスなどを評価する。高校生向けには、課題を書く際の「範書動画」を一昨年から新たに公開し、活用を呼びかけている。
今年のたなばた展にも一画一画丁寧に書かれ、字形に気を使った作品が寄せられた。県書研の五十嵐隆之会長(国見小校長)は「文字を正しく書く力は国語の基礎基本に通じる。練習を重ねることで集中力を養ったり、自己肯定感を高めてほしい」と願っている。







今年の県たなばた展は、7日から10日まで福島市の民報ビルで展覧会が開かれ、11日に表彰式が行われる。