福島のニュース
福島県二本松市の「二本松の菊人形」で咲き誇った菊の大輪を使った二本松萬古焼の作品「菊[きっ]花[か]釉[ゆう]・大輪」が初めて焼き上がり、4日、市内二伊滝の井上窯で窯出しを迎えた。柔らかな黄褐色が特徴で、菊のまちのシンボルに新たな命を吹き込む取り組みが進化を続ける。
菊花釉は秋の菊人形会場で使われた花、葉、茎を乾燥させ、焼いてできた灰から作った釉薬。昨年、初めての作品が完成した。当主の井上善夫さん(76)は展示を終えた軽トラック5台分の菊の中から新たな試みとして大輪の花だけを使った菊花釉約60グラムを作った。ぐい飲み約20個に釉薬を施し、窯で1200度ほどで20時間かけて焼き上げた。
井上さんは「どんな焼き上がりになるか楽しみだった。照りの具合など柔らかい感じになった」と満足そう。「菊の大輪のぐい飲みで二本松の酒を味わってほしい」と話している。窯出しを手伝った妻ゆう子さん(77)は「新しい作品はいつもわくわくする」と笑顔を見せた。
「菊花釉・大輪」のぐい飲みは1万円(税込み)。花、葉、茎から作った釉薬を使い、葉の押し型を付けた新製品「菊花釉・菊皿」も大中小合わせて約100枚制作した。9日に発売する。65周年記念創業祭として31日まで全品2割引きで販売している。問い合わせは井上窯。