福島のニュース
2020(令和2)年の書道展第65回たなばた展は、新型コロナウイルス感染症の影響で、半世紀を超える歴史の中で初めて中止となった。緊急事態宣言に伴い各校の臨時休校が長期化し、課題の周知や作品の募集が困難と判断された。40年以上にわたり、たなばた展の運営に携わってきた佐藤吉則事務局長は「6月の締め切りまでに作品を集めることは難しかった」と苦渋の決断を振り返る。
翌年の第66回は2年ぶりの開催となったが、感染防止対策のため、入賞作品の展示は中止し、ホームページ上で公開した。表彰式は参加者をたなばた大賞と最高学校賞の受賞者に限定して実施にこぎ着けた。
コロナ禍や東日本大震災と東京電力福島第1原発事故などの困難を乗り越えてきた、たなばた展だが、少子化の影響で、出品数の減少が続く。2015(平成27)年の第60回には5万166点の応募があった。しかし、今年の第70回は2万2757点で10年前の半分以下となった。過去最多だった1990年の第35回の9万7684点のおよそ4分の1にまで減少した。
ただ、今年の出品校数は521校で、学校の統廃合が進む中でも10年前の591校から約15%減にとどまる。福島県内の学校全体の7割以上から出品されており、佐藤事務局長は「各学校で書道の指導に当たる先生方の熱意の表れ。子どもたちが目標とする書道展であり続けたい」と未来への継承を誓っている。
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今年の県たなばた展は、7日から10日まで福島市の民報ビルで展覧会が開かれ、11日に表彰式が行われる。