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福島市のあづま総合運動公園は、1日に起きた熊による人身被害に伴う全面閉園が続いている。事故を受け、県は8日までに入っていた各種大会や利用予約を取り消し、9日以降の対応はなおも未定だ。安全確保と利用再開を巡る明確な基準はなく、県は再開の判断を決めかねている。
公園駐車場のゲートは6日も閉じられ、利用者の姿はなく静まりかえっていた。県によると、熊の目撃による閉園は過去にもあるが、人身被害の発生もそれに伴う閉園も初めて。従来は1、2日程度で再開しており、5日以上に及んだ例はない。福島署は周辺の巡回を強めている他、県は熊が近寄らないよう花火を打ち上げるなどしている。
県は再開の可否を見極めるため、熊の生態に詳しい福島大食農学類の望月翔太准教授(市有害鳥獣対策協議会アドバイザー)らと協議している。望月氏によると、熊は多くの人が集まる所には近づかない習性があるため「(利用者の多い)球場やスタジアムなどから段階的に再開させるのが良い」と助言したという。
園内の施設で大会や行事を控える関係者は事態の行方を注視している。あづま球場では9日から11日まで、全日本クラブ野球選手権の第2次予選東北大会が予定されている。大会を主管する日本野球連盟東北地区連盟の古沢吉正事務局長は県の判断を待っているとした上で「仮に球場の利用が再開できた場合も、選手の身を守る安全対策を徹底してほしい」と求めた。
サッカーJ3福島ユナイテッドFCは16日に、とうほう・みんなのスタジアム(あづま陸上競技場)でホーム戦を開催予定だ。クラブの関係者は「安全に留意した上で実施したい」との立場だが、県側の決定に従うとしている。
被害者の男性(51)を襲った熊は近くを流れる荒川から現れたとみられる。望月氏は園内に残された食べ物などを目当てに入り込んだ可能性があると指摘。「飲食物を放置しないなど利用者の意識を徹底する必要がある」と呼びかけた。