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福島県南相馬市の「AstroX(アストロエックス)」は来年6月ごろに、気球で成層圏まで運んだロケットを宇宙空間に発射する実験を計画している。8日に市内で開かれた「福島スペースカンファレンス」で明らかにした。
同社は気球からロケットを発射する「ロックーン方式」での人工衛星輸送技術を開発している。昨年11月には市内小高区で、全長6・3メートルのロケットの地上からの発射実験を行い、高度約7キロに達した。
来年行う実験では、同じ規模のロケットを高度10キロ以上の成層圏まで気球で運び、高度100キロを目標に発射する。成層圏では空気抵抗が少ないため、より少ないエネルギーで宇宙に到達できる。地上の発射場が不要で、低コストの打ち上げ技術として注目されている。
打ち上げ場所は未定だが、南相馬市の沿岸を想定している。2029年には人工衛星を積んだロケットの発射を目指している。
「福島スペースカンファレンス」は小高区の浮舟文化会館などで繰り広げられた。宇宙産業連携機構の主催、南相馬市の共催、内閣府宇宙開発戦略推進事務局、文部科学省、経済産業省の後援。宇宙産業における、浜通りを中心とした福島県の可能性を探ろうと開催した。
小高パイオニアヴィレッジで行われたセッションではアストロエックスをはじめ市内や大熊町に拠点を置くロケットや人工衛星、宇宙産業支援の企業の担当者が登壇し、事業展望などを語った。
このほか人材育成や国際化、農業分野への活用、地域との共生など多角的なテーマで、パネルディスカッションが繰り広げられた。登壇者を含め県内外から約400人が参加した。