福島県大熊町産バイオ燃料 スーパーフォーミュラ全車両で使用へ 2026年シーズン

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福島県大熊町産バイオ燃料 スーパーフォーミュラ全車両で使用へ 2026年シーズン

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国内最高峰の自動車レース「スーパーフォーミュラ」を走る全車両に来季から、福島県大熊町の「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」が製造したバイオエタノール燃料が使用される。脱炭素に有効とされる燃料をモータースポーツ界で活用し、カーボンニュートラルを推進する取り組み。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地で生み出された技術を発信し、福島県の復興をアピールする狙いもある。
組合を構成しているENEOS(エネオス)がバイオエタノール燃料を含む低炭素の混合ガソリンを製造し、レースを運営する日本レースプロモーション(東京都)が約10万リットルを購入。2026(令和8)年シーズンに参戦する23チームに提供し、全12レースで全車両に新燃料を採用する計画だ。9月から実車両を使ったテストを重ねる。
次世代グリーンCO2燃料技術研究組合はエネオスやトヨタ自動車、スズキなど7社で構成する。大熊町の大熊西工業団地に昨年11月に研究施設を設け、浪江町で栽培されたイネ科の植物「ソルガム」などを原料としたバイオエタノール燃料を製造している。燃料は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出するが、植物の光合成によりCO2を吸収するため、脱炭素に役立つとされている。
組合と日本レースプロモーション、エネオスの代表者が8日、大熊町の産業交流施設「CREVAおおくま」で新燃料使用に関する基本合意書を締結した。
組合の中田浩一理事長は記者会見で「レースで使う燃料をようやく出荷できて本当にうれしく思う。カーボンニュートラルの実現に貢献していく」と決意を口にした。日本レースプロモーションの上野禎久社長、エネオスの藤山優一郎常務執行役員は低炭素の混合ガソリンの性能を、社会に広く普及させていく考えを強調した。
同席した大熊町の新保隆志副町長は、町がゼロカーボンの達成時期を政府目標より10年早い2040年としていることに触れ「大熊で製造された燃料が歴史あるレースで活用されることは、復興に向けて大変意義深い」と期待感を示した。