福島のニュース
12日の第107回全国高校野球選手権大会2回戦で、春の選抜高校野球大会(センバツ)での8強入り以上の成績を目指した福島県代表の聖光学院の夏は幕を閉じた。ナインは強豪山梨学院との苦しいゲームでも逆転を信じて白球を追い続けた。諦めないプレーを支えたのは福島大会での競り合いで培われた粘り強さだった。まとめ役として苦難を乗り越えてきた竹内啓汰主将(3年)は「気持ちを前面に出し、自分たちらしい野球ができた」とすがすがしい表情で語った。
強力な投手陣と堅守が持ち味の山梨学院を相手に聖光ナインは攻めあぐねる展開が続いた。安打が出ない中でも「仲間なら打ってくれる」と信じたエース大嶋哲平(同)が力投。バックも守備で流れを呼び込もうと鋭い打球を果敢に取りに行った。
終盤に突き放されても、福島大会で5試合中4試合で逆転勝ちしたナインの闘志は消えなかった。ベンチで「ここから反撃するぞ」と互いを鼓舞し合った。九回の最後の攻撃では2連打を放った後で、竹内主将が左翼フェンス手前まで飛ばす打撃で満塁とした。逆転はかなわなかったが、全員が泥くさく、しぶとい野球を最後まで貫いた。
現チームは当初からまとまっていたわけではなかった。発足直後は選手間で野球に対する熱意に温度差があったという。センバツで8強入り後も練習に取り組む姿勢などにばらつきがあったが、日本一の目標の下に再結束。控え選手もレギュラーと同じ熱量を持って練習するようになり、チームが同じ方向を向きながら総合力を高めていった。
試合終了後はあまり涙を見せなかった選手もいたが、宿舎で開いたミーティングで徐々に実感が湧いてきた。「こんなに早く終わってしまうとは思わなかった」。強い絆で結ばれたナインは全国で一日でも長く戦い続けることを誓った。それだけに、あふれ出す感情を止められず、泣き崩れた。
斎藤智也監督は「大好きなチームになった」と選手に伝え、一人一人の健闘をたたえた。竹内主将も「自分たちは歴史を塗り替えられなかった。次こそは斎藤監督たちを日本一の男にしてほしい」と後輩に願いを託した。