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福島県郡山市の高倉小の5、6年生計9人は、県重要有形民俗文化財「高倉人形」による浄瑠璃文化を児童の力で発信する。10月、同校創立150周年式典で人形浄瑠璃を披露する。浄瑠璃は地元有志が今春、約130年ぶりの復活を宣言したばかり。児童は「地域の伝統芸能を自分たちがつないでいく」と意気込む。
「イチ、ニー、サン、イチ、ニー、サン」「『よっ!』のかけ声の後に、人形をおじぎさせて」。夏休み中の校舎に、明るい声が響く。児童は浄瑠璃の継承に向けて活動してきた地元「高倉人形浄瑠璃座」のメンバーから指導を受け、一つの人形を3人で操る「三人遣い」を習得している。
高倉人形浄瑠璃は江戸時代に東北、北関東地方で活況を呈したが、時代の流れで一座は明治時代に解散。人形は地元の寺などで保管していたとされる。現在は市歴史情報博物館に展示されている。
同校ではこれまで5、6年生が総合の授業を通して高倉人形の歴史を学んでいたが、一日限りの学習だった。教員の発案で今年は10月25日の創立150周年記念式典で発表する。同校が地域住民向けに浄瑠璃を発表するのは初めて。当日は文化財指定の人形とは別のものを用いるが、一座が上演していたとされる「三番叟」を披露する。五穀豊穣などを祈る祝いの踊りだ。
6年の渡辺えみさん(11)は3人で息を合わせて人形を動かすのが難しいと感じる一方、伝統芸能の継承にやりがいも抱く。「多くの人に見てもらい、高倉人形に興味を持つ人が増えてほしい」。思いを込めて約10分間のパフォーマンスを演じるつもりだ。