福島県いわき市中之作地区にゲストハウスが誕生 元経産省官僚の谷口さん 復興後押しへ移住決意

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福島県いわき市中之作地区にゲストハウスが誕生 元経産省官僚の谷口さん 復興後押しへ移住決意

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福島県いわき市の港町、中之作地区に地区内唯一の宿泊可能なゲストハウスが誕生した。先月、都内から移住した元経済産業省官僚の谷口太郎さん(31)が開いた「enoto(エノト)/泊まれる港の交民館」。既にプレオープンし、9月にグランドオープンする予定。「地域を面白くする仲間を増やす拠点にしたい」と意気込む。
谷口さんは都内出身で開成中・高、東京大法学部卒。2018(平成30)年4月に経産省に入省した後、福島復興推進グループ総合調整室など、福島県の復興に関わる部署で計3年間勤務した。中之作地区には大学時代の同級生が居住し、地域おこしの活動に取り組んでおり、以前から訪れる機会があった。
地区内は東日本大震災の津波被害に遭った他、東京電力福島第1原発事故の影響を受けた。地元住民がNPO法人中之作プロジェクトなどで地域のにぎわいづくりに力を尽くす姿を目の当たりにして感銘した。自分も地域に根差して復興を後押ししたい―。一念発起して移住を決意し、経産省を今夏退職した。「エネルギーの塊のような地域の人と交流した体験に突き動かされた」と振り返る。
enotoは木造2階建てで、地域の空き家を改装した。2人部屋の個室が三つあり、二つずつの男女別トイレと風呂、共用キッチンを備える。自由に視聴可能な本やレコードもある。一棟貸しも可能だ。日中に宿泊者以外が立ち寄って交流できるフリースペースも設けた。「宿泊するかどうかに関わらず、さまざまな人が気軽に集い、それぞれの心に残るような施設にしたい」と語る。