福島のニュース
福島県福島市松川町でブドウの大規模栽培が始まる。地元の農業生産法人「松川アグリ農産」が農家から借り受けた水田1.8ヘクタールを改良して今秋にも植栽を始める。多角的な農業の実現、担い手育成に向けて若手従業員を雇用する。JA福島五連会長を退いた菅野孝志社長(73)が会長時代に掲げた園芸作物の栽培強化策「ふくしま園芸ギガ団地構想」を古里で実践し、基幹産業を守ろうと県や市、JAと連携して準備してきた。2028(令和10)年の初収穫を目指す。20日、現地で起工式を行った。
東北自動車道福島松川スマートインターチェンジ(IC)南側の農地でブドウを栽培する。計画する186本のうち、4割を全国的に人気の高いシャインマスカットとし、巨峰やピオーネなども植える。雨よけ栽培の予定で、事業費は約9300万円。国や県の補助を受けて整備を進める。
松川町の農業はコメ栽培が中心で、同法人も地域内の水田や畑計約30ヘクタールでコメや大豆を生産してきた。約10人で田植えや稲刈りなどを担っているが、繁忙期以外は従事する作業が少なく年間を通じた安定雇用が課題だった。冬場に枝の剪定などが必要なブドウ栽培に参入して通年の就労を実現し、若手の雇用や定着につなげる。来年までに少なくとも2人の確保を目標とする。将来的には他の園芸作物の栽培も目指す。
20日の起工式には関係者約30人が出席。安全祈願祭を催し、菅野社長や施工業者の代表らがくわ入れなどを行った。菅野社長は五連会長時代、担い手確保に向けた県や関係団体との連携に力を入れてきた。「新しい後継者を育成し、ブドウを松川の新たな特産に育てたい」と意気込んでいる。
新たな雇用は45歳以下を想定しているが、関心や意欲があれば年齢は問わない。問い合わせは松川アグリ農産(JAふくしま未来松川営農センター内)へ。