会津AC新たな歴史 県内地域クラブ快挙 全中陸上女子400リレー2位

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会津AC新たな歴史 県内地域クラブ快挙 全中陸上女子400リレー2位

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20日に沖縄県で行われた全日本中学校陸上競技選手権大会の女子400メートルリレーで2位となった会津アスリートクラブ(会津AC)は、予選に続き県中学記録と東北中学記録を更新し、大舞台でその名をとどろかせた。公立中学校の部活動の地域移行を受けて2023(令和5)年度に地域クラブの大会参加が認められて以降、本県のクラブで初の表彰台。小学生時代から練習を共にした選手と指導者は結束力と信頼感を武器に、福島県中学陸上の新たな歴史を刻んだ。
1走岩沢莉子、2走宇津城優芽、3走堀金心[み]結[う]、4走益子夕[ゆう]姫[ひ]で編成し、第7レーンで挑んだ決勝。隣の第6レーンには、出場8チームの中でベストタイムを持つ美濃加茂ジュニアク(岐阜)が入った。「前半でしっかり流れをつかみ、逃げ切りたい」。高橋聡監督(56)の言葉通り、1走からトップに躍り出ると、アンカーまで目まぐるしい首位争いを繰り広げた。優勝した美濃加茂に0秒23及ばなかったが、岩沢は「順位だけが悔しいが、満足できるレース内容だった」と達成感をにじませた。
会津ACは会津若松市を拠点に活動する。前身の会津ACジュニアは小学生が対象のクラブだった。部活動の地域移行を受け、2023年度から中学生まで枠を広げた。中学生は週3日、高橋監督の下で26人が練習に汗を流している。
リレーメンバーの4人は小学4年生からクラブに所属している。同じ若松一中3年の同級生で仲が良く、普段の練習から十分なコミュニケーションを取ってきた。宇津城は「何でも言い合える家族のような存在」とチームワークの良さを強調する。
中学陸上の集大成となる今季、選手は数々の記録を打ち立ててきた。7月の県中体で大会記録を更新し、全日本中学通信福島大会で大会新記録と県中学新記録を樹立した。18日の予選とこの日の決勝で、県中学記録と東北中学記録を2度塗り替えた。
この種目で県勢女子初となる優勝にはわずかに届かなかったが、堀金は「過去最高の走りができた」と胸を張った。益子も「反省点のない完璧なレースだった」と誇った。
福島陸協の根本寿実会長(63)は選手の躍動をたたえた。「県民が明るくなる素晴らしいニュースだ。地域クラブとしても、今後への良い材料を残してくれた」と語った。■小中一貫指導で底上げ
会津ACは地域移行の強みでもある小中一貫指導による競技力の底上げを実現した。一方、地域移行には課題も多い。人口規模の小さな自治体では、平日も指導できる人材や受け皿となる団体が確保しにくい。大会参加費の負担も自治体で異なる。上位大会に進んだ場合など、家庭によって金銭的な負担に格差が生まれる懸念がある。※部活動の地域移行
公立中学校の教員が指導を担う部活動を、地域スポーツクラブや民間事業者に委託する取り組み。国の有識者会議は2026(令和8)年度から2031年度までの6年間で移行を完了させる方向性を示している。日本中学校体育連盟(日本中体連)は全日本中学校体育大会(全中)で条件を満たした地域クラブの参加を2023年度から認め、県中体連も同様の措置を取っている。