新型コロナ 新規感染者前週の1.5倍 福島県内 変異株「ニンバス」流行か

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新型コロナ 新規感染者前週の1.5倍 福島県内 変異株「ニンバス」流行か

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新型コロナウイルスの感染が福島県内で広がっている。県が20日に発表した11日から17日の新規感染者数は前週から約1・5倍に増加。医療関係者はオミクロン株から派生したとみられる変異株「ニンバス」が全国と同様に流行しているとみている。児童生徒の夏休みが終わり、さらなる感染拡大が懸念されるとして、県は感染対策の徹底を促している。
直近1週間の保健所別の感染者数は【表】の通り。急性呼吸器感染症の48定点医療機関のうち、1医療機関当たりの感染者数は会津が12・67人で最も多い。次いで県南の10・00人、県北の8・25人などとなっている。感染者数の推移は【グラフ】の通り。過去2年とも夏休み前後に感染者が増加した経緯がある。
いわき市常磐上湯長谷町の常磐病院では、お盆前から新型コロナの患者が急増し、20人が受診した日もあった。年代を問わず、喉の痛みや発熱の症状を訴える患者が多い。熱中症と思って診察を受け、感染が判明するケースがあった。新村浩明院長は猛暑のためマスクを着用する人が減ったことを感染拡大の一因に挙げる。「人が集まる場所に行く際は対策をしてほしい。体調に異変を感じたら早めに受診して」と促す。
三春町にある石川医院の石川和広院長は17日に田村地方の休日当番医を担当した。訪れた数十人の患者のほとんどに新型コロナ感染の疑いがみられたという。お盆時期の移動や来客などに伴い感染リスクが高まったのではないかと指摘。「家庭内感染にも気を付けてほしい」と呼びかける。
学校現場や高齢者施設は対応を急ぐ。会津若松市の会津北嶺高は25日に新学期を迎える。全教室にサーキュレーターを設置し、生徒に小まめな換気や手洗い、うがいを促し、マスクを配布する。9月6日には一般公開の文化祭を控えており、対策を模索している。
福島市の社会福祉法人「ライフ・タイム・福島」は運営する高齢者施設で入居者と家族らの面会を制限している。大内利彦事務長は「家族の理解を得ながら、人数や時間の制限を検討していかなければならない」と話した。■県北など小中学校126校あす始業式
県北地方と飯舘村の公立小中学校126校で22日、夏休み明けの始業式や全校集会を実施する。25日は、その他の402校で行う。
県立高は25日を中心に、27日までに始業式などを予定している。■山藤福医大教授に聞く
適度な換気とマスク着用
福島医大医学部感染制御学講座の山藤栄一郎主任教授に新型コロナの感染状況や予防策を聞いた。
―県内の感染状況は。
「日々、多数の感染が報告されている。集団感染も複数で発生しており、非常に流行していると感じる」
―広がっている変異株ニンバスの症状は。
「一般的に喉の痛みが強くなると言われているが、咽頭痛に限らず発熱、せきなど症状は人それぞれだ。これまで通り感染力は強いが、特別に重症化する人が多いわけではない」
―厳しい残暑の中で感染対策をどう進めるべきか。
「換気とマスク着用が一番重要だが、熱中症を防ぐため暑さを避けてほしい。エアコンが効く屋内は換気が悪いと感染が広がりやすくなる。適度な換気や状況に応じたマスク着用を推奨する」
―新型コロナとどう向き合っていくべきか。
「風邪のような症状の人もいれば、肺炎になる人、感染がきっかけで亡くなる人もいる。風邪ではないかもしれないという想像力を持つことが大事になる」